EUのロシア追加制裁を巡る問題


29日に開催されるEU=欧州連合外相理事会に向けた決定案によりますと、EUはロシアのクリミア併合をめぐり昨年3月に発動した対ロシア制裁を今年の9月まで6カ月延長するとともに、対象者を拡大し、追加制裁を準備します。


EUのロシア追加制裁を巡る問題 - ảnh 1
(Photo:thoibaotaichinhvietnam)

決定案は、「理事会は現地の状況を引き続き注視し、状況に応じて行動します。理事会は欧州委員会と欧州対外行動庁に対し、適切な行動、特に追加制裁についてさらなる準備作業を進めるよう要請する」としています。


制裁の影響

実際、欧米諸国の制裁措置はロシア経済に深刻な影響を与えています。格付け会社「S&P=スタンダード・アンド・プアーズ」は26日、ロシアの外貨建て長期債の格付けを1段階引き下げ「ダブルBプラス」にすると発表しました。10年ぶりに投資級を失い、投機的な水準とみなされています。

こうした中、ロシア政府は、ことしの歳出を10%削減し、新たな地域開発計画を延期するなどの「危機対策計画」を公表しました。それによりますと、ことしの予算について15兆ルーブル余り、日本円でおよそ26兆円と見込んでいた歳出の10%を削減し、新たな地域開発計画を延期するなどとしています。

一方で、欧米との対立の深まりをうけて、軍事費や友好国を支援するための予算は削減せず、去年ウクライナから一方的に編入したクリミアの開発も予定どおり進めるということです。


緊張を増す動き

対ロシア制裁は昨年3月に発動しましたが、EUは28日、現在132人、28団体に実施している資産凍結、渡航禁止などの個人・団体制裁の延長で大筋合意しました。これより前の27日、EUは財政危機に直面しているウクライナへの支援に向け、18億ユーロ(約20億ドル)の融資で合意しました。

一方、ウクライナ議会はロシアを「侵略国」と規定する声明を採択し、さらなる国際支援とロシアに対する制裁の強化を求めました。

また、ウクライナ東部の親ロシア派勢力が創設を宣言した「共和国」について、「テロ組織」と定義することや、国際社会に追加的な非致死性の軍事支援や対ロシア制裁の強化を求めることも承認しました。これらの動きは緊張を増すものと指摘されています。


制裁で問題解決できず

アナリストらは、欧米諸国は対ロシア制裁を強化しても問題を解決できないと指摘しています。EUの加盟国ギリシャのチプラス新首相は、ロシアに追加制裁を警告した共同声明について、「相談を受けていない」と主張し、「内容に同意していない」と述べ、反対の立場を鮮明にしています。

特に、今回の追加経済制裁にはドイツや南欧諸国などにも異論があり、来月12日のEU首脳会議で実施するかどうか判断します。

ご感想

他の情報