EU離脱をめぐり 英国の混乱

(VOVWORLD) - 政治アナリストによりますと、ジョンソン首相は、EU離脱を期限通り実現させるために、リスクが高い対策をとっています。これは、イギリスの大きな混乱の要因になる恐れがあるとみられています。

イギリスのEU欧州連合離脱は10月末に期限が迫っていますが、離脱に関するイギリスとEUとの合意が達成されるかどうかは不透明です。イギリスのジョンソン首相は、「合意なき離脱」阻止に向けた野党側の法案が議会で可決されれば、解散総選挙を提案する考えを示唆しましたので、イギリス国内は混乱状態に陥っています。

EU離脱をめぐり 英国の混乱 - ảnh 1 ジョンソン首相

「合意なき離脱」を目指すジョンソン首相の対策

労働党など野党は、経済の混乱が懸念される「合意なき離脱」を回避するための法案を9月3日再開の議会に提出します。イギリスが10月19日までにEUと離脱協定案の交渉で合意できない場合、2020年1月31日までの期限延期をEUに求めるようジョンソン氏に義務づける内容です。

これに対し、ジョンソン首相は2日、声明で「私が離脱延期を求めることはあり得ない」とした上で、「私は選挙をやりたくないし、あなたたちもやりたくないであろう」「総選挙をせずに離脱を実現しよう」などと訴え、法案への反対を呼びかけました。

ジョンソン氏は、法案審議を妨害するため、9月9日の週から約1カ月後の10月13日まで議会を休会する方針です。しかし、議会日程の調整権限を持つバーコウ下院議長がジョンソン氏に対抗し、法案の審議を優先して短期間で採決することが予想されます。

また、与党は議会でかろうじて過半数を確保しているにすぎず、一人でも造反者が出れば、法案が可決される可能性があります。ジョンソン氏は、法案が可決された場合、総選挙で10月末の離脱実現を訴えて国民の信を問うことをもくろんでいるとみられます。

ただ、英国の法の下では、ジョンソン首相が総選挙の実施を望むなら、下院議員の3分の2の賛成が必要です。ジョンソン氏が実際に解散を提案しても、総選挙実施にこぎ着けられるかは不透明です。

ジョンソン首相への不満 高まる

EU離脱に向けて議会を閉会するというジョンソン新首相の決定に反発し、イギリス各地で31日、数万人が抗議行動に参加しました。マンチェスター、リーズ、ヨークなどの国内30カ所以上の市町村で大勢がデモ行進しました。

そして、英国がEUから秩序ある離脱をできるかどうか、昨年11月に当時のメイ首相がEU側と合意したアイルランド国境管理を巡る安全策「バックストップ条項が、最大の障害となっています。ジョンソン首相は就任後、EUと新たな離脱合意を結ぶにはバックストップ条項を撤回する必要があると語っています。

しかし、アイルランドのコベニー外相は、イギリスのEU離脱について、イギリス政府は「全く理不尽」であり、アイルランドとの厳格な国境管理を避けるための安全策(バックストップ)に代わる具体案を提示していないとの認識を示しました。

政治アナリストによりますと、ジョンソン首相は、EU離脱を期限通り実現させるために、リスクが高い対策をとっています。これは、イギリスの大きな混乱の要因になる恐れがあるとみられています。

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