先週末、オーストラリアで開かれていたG20=主要20カ国・地域首脳会議は世界経済を2兆ドル以上引き上げるための行動計画を盛り込んだ首脳宣言を採択しました。首脳宣言は「参加国が成長戦略を実行すれば、G20全体のGDP=国内総生産を2018年までに2.1%引き上げられる」と明記しました。
また、「労働力率の男女間格差を2025年までに25%減少させる」目標も打ち出し、女性の就業を1億人以上増やす方針を示しました。
基本的な利益
先ずは、G20の大多数の各国と地域は、GDPの成長率2%という目標の達成に向けた提案に一致しました。議長国オーストラリアのアボット首相は、「持続的な経済成長に向けて、われわれの取り組みを世界に示すことができた」とサミットの成果を強調しました。
一方、IMF=国際通貨基金のクリスティーヌ・ラガルド専務理事は「G20首脳会議は有益なものである。行動計画のコンセンサスは持続可能な成長と雇用創出をもたらす鍵である」と評価しました。もう一つの有利な要素は、現時点で、TPP=環太平洋パートナシップ協定や、二国間自由貿易協定などを含む複数の経済連盟が形成されつつあるということです。
これらは、各国と地域の経済成長及び、経済的公約の推進に寄与しています。その一方で、ユーロ圏で低めの経済成長が続いています。EU=欧州連合統計局が14日発表したユーロ圏18カ国の今年7月から9月のGDPは物価の影響を除いた実質で前期に比べ0.2%増にとどまりました。
欧州最大の経済国であるドイツの実質成長率は前期比0.1%でした。0.1%減だった前期からプラスに復帰しました。フランスは市場予測を上回る0.3%成長を記録しました。
試練も山積
この意欲的な目標を達成する為には、G20にとって簡単なことではありません。IMFのラガルド専務理事は会議の成果を祝った際に、「新たな行動計画は極めて重要であるので、厳格な監視の下で実施されるべきだ」と勧告しました。
その一方で、アナリストらは世界経済の現状について、「幾つかの主要国で成長がより強固になっている一方で、世界的な回復はにぶく、ばらつきがあり、必要な雇用を生んでいない」と指摘しました。需要の不足が世界経済の足かせとなっていると分析しました。
G20首脳会議の閉幕の翌日17日、日本内閣府は、7月から9月のGDP暫定値が前期比0.4%減少したと公表しました。年率換算では1.6%減となります。これにより、日本経済は2期連続のマイナス成長を記録することになりました。
また、イギリスのキャメロン首相は「イギリスの経済回復は世界の持続ではない世界経済状況により、真の危機に直面している」と明らかにしました。世界経済大国のアメリカ経済も成長が遅れており、ばらつきがあります。
世界経済の不透明感が強まるなかで、各国がいかに効果的な成長戦略に取り組んでいくかが今後の焦点となります。