既にお伝えしましたように、2月4日、ニュージーランドで、ベトナムを含むTPP=環太平洋経済連携協定加盟12カ国がTPPに署名しました。これは、ベトナムと他の加盟国がこの5年間で交渉してきた結果であり、ベトナムがこの30年実施しているドイモイ刷新事業の成果を示すものでもあります。
これに関し、ベトナムのグエン・タン・ズン首相は「TPPによるチャンスと試練・ベトナムの行動」と題するコメントを執筆しました。今日は、その主な内容をお伝えします。
TPPへの参加、時代的視野
ズン首相は、「TPPは次世代の自由貿易協定で、全面的かつ包括的なものである」と強調しました。この協定は、商品、サービス、資金、技術の自由移動を確保し、投資と貿易に便宜を図ります。また、加盟国の間で、生産システムとサプライチェーンの完備を促進させ、加盟国の経済成長、雇用創出、国民生活の改善に貢献すると期待されています。
そして、TPPは、発展レベルが異なる加盟国、及び、中小企業も大手企業もTPPによるメリットを受けられるような規定があります。さらに、TPPは、それぞれの加盟国の政治体制を尊重し、国際条約に見合う国の法律を遵守する必要があるとしています。
ズン首相は、「経済発展レベルがまだ低いベトナムがTPPを始め各自由貿易協定に加盟することはベトナムの時代的な視野を示している」と強調しました。また、「これは、ベトナム民族の力と意志に対する信念をも示している」としています。
チャンスに伴う試練
TPPによるチャンスについて、ズン首相は、「この協定は、世界の貿易総額の30%とGDPの40%を占めるTPP加盟各国間の投資と貿易関係を拡大させることで、ベトナム経済の新しい原動力になる」としました。
また、「TPPとの公約の実現はベトナムの市場経済メカニズムの完備、経済構造の再構築、成長モデルの転換につながるであろう」との考えを示しました。一方、TPPによる試練は大きいとも指摘しました。ベトナムの商品とサービスは他のTPP加盟国はもちろん、国内でも厳しい競争に余儀なく直面します。こうした中、成功する企業もあれば、失敗する企業もあります。また、農業と農民はTPPによるデメリットを最も受けやすいです。
そして、迅速で着実な発展戦略を効果的に展開しなければ、貧富の差が大きくなる恐れがあるとしています。さらに、TPPの展開は法整備から展開に必要な人材育成まで多くの試練に直面すると指摘しました。
ベトナムの行動
ズン首相は、「チャンスを活用して試練を乗り越えるために、経済の競争力を向上させなければならない」と強調しました。それぞれの企業は、国内市場だけでなく、世界市場にも視野を広げ、自分の商品とサービスの質を世界レベルまで高める必要があります。
それに対し、国は、マクロ経済の安定を維持するとともに、自由で透明な経営・投資環境を作るようにしなければならないとしています。ズン首相は、こうした課題を実現させるためには、国民の、国民による、国民のための法治国家の構築が最優先課題であるとしました。
そして、全党、全軍、全国民、及び、企業に対し、「団結して民族の自尊心を発揮したうえで、世界各国と肩を並べられるようなベトナムを建設するよう呼びかけました。