(VOVWORLD) -第74回世界保健総会(WHA)が5月24日から6月1日までオンライン方式で開催されています。今回は、新型コロナウイルスによるパンデミック予防対策とそのワクチン開発・生産・配分は主要議題となっています。
WHO=世界保健機関のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、「これまでに死亡してきた医療・介護従事者が、少なくとも11万5000人に上っている」と明らかにし、「すべての国でワクチン接種を加速させるよう」と呼び掛けました。また、テドロス氏は、新型コロナのパンデミックと闘うために犠牲を払ってきた世界の医療従事者らを称賛しました。「約1年半にわたり、世界中の医療・介護従事者は生と死のはざまに立ってきた」と述べた上で、「彼らは数え切れない命を救い、また最善の努力を尽くしたにもかかわらず命を落とすことになった人々のために闘ってきた」と語りました。
さらに、「その多くが自らも感染し、報告数は不十分だが、少なくとも11万5000人の医療・介護従事者が他者に尽くす中で究極の代償を払ったと推定される」と述べました。テドロス氏はまた、新型コロナ危機の開始以来、多くの医療従事者が「個人用防護具(PPE)やワクチンの不足に不満を抱え、無力感にさいなまれ、守られていないと感じている」と指摘しました。
一方、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、世界は新型コロナウイルス感染症との「戦争状態にある」と述べ、コロナ対策に必要な「武器」の不公平な分配に対し、戦時の論理をもって対処するよう呼び掛けました。また、グテーレス氏は総会の冒頭演説で、コロナ危機が「苦しみの津波」をもたらしたと非難すると共に、「最も弱い立場にいる人々が最も苦しんでおり、これが終わりからは程遠いことを危惧している」とし、「2つのスピードによる世界的な対応」による危険が続いていることを強調しました。
さらに、国連のグテーレス事務総長は、G20サミット=主要20か国の首脳会議が始まるのを前に記者会見を開き、国連が主導する新型コロナウイルスのワクチンを公平に分配する枠組みを支援するよう呼びかけました。この中でグテーレス事務総長は「最近のワクチン開発の進展は希望の光だ。しかし、この光はすべての人に届く必要がある」と述べ、ワクチンは公平に分配されるべきだと、改めて強調しました。
そして、国連の専門機関の、WHO=世界保健機関などが主導して立ち上げたワクチンを公平に分配するための国際的な枠組みについて、「G20には資源がある。すべての国がこの枠組みを支えることを求める」と述べて、G20の中で、まだ参加していないアメリカやロシアを念頭に支援を呼びかけました。グテーレス事務総長は、ワクチンに関する真偽の定かでない情報が、ソーシャルメディアを通じて拡散していると指摘し、「国連は、ワクチンに対する信頼が高まるよう、事実に基づいた確実な情報の提供に取り組んでいる」と述べました。