(VOVWORLD) - ここ数年、よさこいはベトナムの若者の間で人気で、よさこいブームが起きています。
山崎 こんにちは、山崎千佳子です。
ソン こんにちは、ソンです。今日のハノイ便りは、よさこいブームについてお伝えします。
山崎 よさこいは、よさこい踊りですね。最近では、現代風にアレンジされて、いろんな踊り、というよりダンスがあるんですよね。ベトナムでブームになっているんですか?
ハノイ千年よさこいグループ (写真:Dan tri)
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ソン はい。ここ数年、よさこいはベトナムの若者の間で人気です。日本とベトナムとの文化交流が盛んなことから、よさこいだけでなくて、日本の漫画やアニメ、原宿ファッション、コスプレ、剣道、合気道なども多くの若者を引き付けています。
山崎 そうですね。そして、よさこいはアルファベットでYOSAKOIと表記されるほど、国際的なんですよね。インドネシアではYOSAKOI祭りが行われているようです。よさこいがベトナムで始まったきっかけは何だったんですか?
ソン いつ始まったのかはわからないんですが、2008年に行われたハノイの桜祭りで、初めて多くの人の前で披露されました。祭りのイベントの一つでしたが、マスメディアと人々の注目を集めて若者たちの間で人気が上昇しました。その時から、趣味としてこの踊りに取り組む人が増えています。
山崎 たくさんいるんですか?
ソン はい。よさこいのグループがどんどん作られて、メンバーが増えています。現在、ベトナム全土には大きなグループが19あるそうです。ハノイに13、ホーチミンには5つ、ハイフォンには1つです。他にも、小規模のグループがたくさんあるので、よさこいをやっているという人はかなりいると思います。
ヌイチュックさくらよさこいグループ(写真:Dan tri) |
山崎 へえ。初めて知りました。有名なグループがあるということですけど。
ソン はい。ベトナム初のよさこいチームの「ハノイ千年よさこい」です。2008年9月に結成されて、日本・ベトナム文化交流協会に所属しています。最初は「ハノイスーパーよさこい」というチーム名でしたが、2010年のハノイ遷都1000年を機に、ハノイ千年よさこいになりました。
山崎 日本とベトナムの友好関係を表す名前でもありますね。
ソン そうです。ハノイ千年よさこいのメンバーは、今100人です。週2回集まって練習を続けています。中学生・高校生もいれば、年配の人もいます。一番多いのは大学生で、日本文化、特によさこいが大好きというのが共通点です。
山崎 よさこいはダイナミックで元気な踊りですから、練習もとても活気があるんじゃないですか?
ソン そうなんです。メンバーはみんな元気で熱心です。練習を見ると、よさこいに対するそれぞれの気持ちがわかります。広い練習場で、数十人の若者が、賑やかな音楽で鳴子を鳴らしながら踊っています。
山崎 ダンスというのは、みんな大体いつも笑顔で演技を披露しますよね。よさこいもそういうイメージがあります。
ソン そうです。笑顔を見せなければならないという原則があって、メンバーの顔に楽しさやよさこいを好きな気持ちが出ています。盛り上がってくると、全員が日本語で歌を歌って、笑っているんです。
山崎 話を聞いているだけでも楽しそうですね。いいですね。メンバーの話です。
(テープ)
「よさこいは私たちにとって全く新しいものでした。覚えるのも大変でした。鳴子の使い方も難しいですが、一番難しいのは、よさこいの精神を表現することです。笑顔で踊りながら、熱い気持ちと健康な心を表すことを求めています。それができると、踊り手はいくら疲れていても自然と元気になって、その元気が見る人にも伝わるんです。」
ハイフォン市から来たハイフォンさくらグループ(写真:Dan tri) |
山崎 このハノイ千年よさこいチームも、初めはいろいろと大変なことが多かったそうです。結成当初からリーダーを務めているチャン・ダン・クアンさんの話です。
(テープ)
「最初は10人ぐらいしかいなかったし、踊りの動作、道具、音楽などすべて、初めての物ばかりでした。日本から送ってもらったよさこいのビデオを何度も見て研究しました。細かい動作を覚えてから、練習したり、教えあったりしました。当時ハノイでは、よさこいができる人がなかなか見つからなかったんです。」
山崎 こういった苦労を共にして、長い間練習し、何度も本番を迎えてきたハノイ千年よさこい。メンバー全員が兄弟のように親しくなっているそうです。
ソン はい。休憩の時間などには、一緒に遊んだり、難しい動作や振りを教え合ったりと、練習はいつもいい雰囲気で行われています。踊りのレパートリーも20以上あるんですよ。
山崎 すごい。先生がいる訳ではないですよね。自主学習のような形でそれだけの種類を踊れるのは、やはりその熱心さ、気持ちですね。
ソン そうですね。このグループは3回日本で演技したことがあるそうです。
山崎 へえ。本場での挑戦ですね。でも、これだけの熱意があれば成功したでしょう。
ソン はい。「一緒に笑って、日本文化の美しさをもっと知りたい。究めたい。」というのが、ハノイ千年よさこいが、見ている人達に伝えたいメッセージです。そして、ベトナムの伝説もよさこいに取り入れているんです。
山崎 踊りに入れるんですよね。どんなものでしょう?
ソン 山崎さんは、コーロア城の伝説は知ってますか?紀元前の3世紀頃、現在のハノイ郊外に作られた城で、今もその遺跡が残っているんです。
仲間よさこいグループ(写真:Dan tri) |
山崎 コーロア城。知りませんでした。どんな伝説ですか?
ソン この城を建てるとき、何回も壊れてうまくいきませんでした。亀の神の助けによって、螺旋の形で建設したところ、北からの侵略者を打ち負かしたという伝説です。
山崎 その伝説をどのようによさこいにしたんでしょう。ハノイ千年よさこいリーダー、クアンさんの話です。
(テープ)
「コーロア城の螺旋の形を取り入れました。振り付けで螺旋を表現したんです。大好きな日本と誇りに思う母国の融合で、私たちの思いを表すためです。」
山崎 クアンさんは、よさこいは単なる踊りではなく、前向きさやチームワークによって自分自身を鍛える芸術で、さらに日本文化を自然に取り込むことができるものと考えているそうです。
ソン ベトナム人は今、日本と言えば、富士山や着物、桜などを思い出しますが、将来、よさこいもその中に入ると思います。
山崎 私は、もう既によさこいがここまでベトナムに広まっているのが意外でした。見るより自分で踊る方が楽しそうなので、ソンさんもどうですか?はまるかもしれませんよ。
ソン (コメント)
山崎 では、おしまいに一曲お送りしましょう。「~」です。
(曲)
「~」をお送りしました。今日のハノイ便りは、ベトナムでのよさこいブームについてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。