ベトナムの少数民族の一つであるザオ族の人口はおよそ百万人で、ベトナムの54民族の中で、9番目に多い民族です。ザオ族は北部山岳地帯のカオバン、ハザン、ラオカイ、イエンバイ、ライチャウ、トゥエンクアン各省から丘陵地帯のフート、ビンフック、ホアビン各省まで居住しています。

北部山岳地帯イエンバイ省には少数民族であるザオ族の人々が多く住んでいます。国際社会への参入が進められている背景の中で、他の少数民族と同様、ザオ族の伝統的文化が消滅する恐れに追い込まれています。これを意識して、ザオ族の伝統的文化を愛好している人々はザオ族の伝統的文化を若い世代に伝えることに全力を尽くしています。

ザオ族の伝統的文化に精通しているイエンバイ省バンチャン県ミンアン村に住んでいるズオン・チュン・ビさんはザオ族の伝統的文化をどのように維持、保存するかをよく考えています。毎年、旧正月テトがやってくると、ビさんはザオ族の伝統的文化を愛好する人々と懇親会を行い、ザオ族の文化に対する誇りを引き起こしながら、若者たちがザオ族の伝統的文字を教育する教室に参加するよう呼びかけます。ビさんの話です。

（テープ）

「ザオ族の伝統的文字で書かれた本は面白く、かつ、深い意義があります。その内容のほとんどは善良な人間になるためのノウハウや、タブーのこと、生活上における儀式を教えます。現在、ザオ族の伝統的文字が様々な原因で消滅する恐れがあります。すでにその文字を知る人がいない村もあります。そのため、ザオ族の伝統的文字を維持、保存するため、私たちが努力するだけで不十分です。地元の行政府と各部門や機関の支援が欠かせません」

（写真：baodantoc.vn）

ザオ族の伝統的文字は表意文字であるため、書くことを学ぶという行為が難しいのです。この文字を読み書きできるように、２，３年かかります。ザオ族の伝統的文字を学ぶには時間がかかるので、生産経営活動に影響を与えないように、ミンアン村にあるザオ族の伝統的文字を教える教室は夜間に開かれています。この教室に参加しているズオン・チュン・リュさんは次のように語りました。

（テープ） 

「日常生活において、ザオ族の伝統的文字をよく使っています。この文字を読み書きできると、ザオ族の伝統的文化を深く理解できます。今、この文字を読み書きできる人が少ないので、ザオ族の伝統的文化を理解するため、この文字を学ぶことにしました。」

ザオ族は手織りの伝統的職業を持っています。ザオ族の女性の手先の器用により、独特な模様がある民族衣装が作られています。毎年、農閑期と旧正月テトの休暇などに、ザオ族の女性たちが集まって、手織りをしています。イエンバイ省バンチャン県ミンアン村に住む女性チェウ・テイ・ズエンさんは次の様に語りました。

（テープ）      

「私は刺繍ができるので、若者に伝える責任があると思います。ザオ族の人ならば、ザオ族の伝統的文化を守り、保存しなければなりません」

イエンバイ省バンチャン県ミンアン村の人々の生活に、文字と民族衣装の他、民謡も欠かせない一部です。ザオ族の伝統的文化を維持、保存するため、ミンアン村の幾人かの芸人は若い世代にザオ族の民謡や舞踊を熱心に教えています。ザオ族の一人チェウ・ティ・ゾンさんは次のように語っています。

（テープ） 

「幼い頃から、歌を歌うことが好きでした。そして、両親がザオ族の伝統的文化を教えてくれました。今日、ザオ族の伝統的民謡はザオ族の伝統的儀式だけでなく、ザオ族の日常生活も歌われるので、若者たちに教えることに取り組んでいます」

イエンバイ省バンチャン県ミンアン村の高齢者協会のズオン・ドゥク・トゥ会長は「村の会議で、ザオ族の伝統的文化の維持、保存について話している。現在、村の芸人と女性たちが互いにザオ族の伝統的文字や民謡を教えている」と明らかにし、次の様に語りました。

（テープ） 

「この数年、地元の人々がザオ族の伝統的文字の重要性を理解した上で、村の人々は自費でザオ族の伝統的文字を教える教室を開設しました。この教室を通じて、多くの人々はザオ族の伝統的文字を読み書きできるようになりましたよ。」

年を追って、ミンアン村でザオ族の伝統的文字を読み書きできる人が増えています。特に、今年半ばに、イエンバイ省の奨学協会の支援を受け、ミンアン村で、ザオ族の伝統的文化を教える教室が開設されます。これはザオ族の伝統的文化が今後も引き続き維持、保存されることが期待できることでしょう。