(VOVWORLD) - 昨年から世界市場の砂糖の価格が高まっていることはサトウキビの価格高騰につながっています。また、昨年のサトウキビは豊作に恵まれました。これはサトウキビ栽培に従事している農民にとって大きな喜びで、彼らは楽しい旧正月テトを過ごしました。
ベトナムでは、サトウキビは、亜熱帯性気候で四季のある北部から中部、熱帯性気候の南部までほぼ国土全体で栽培されています。トゥエンクアン省やカオバン省など北部の山岳地域では、開墾によりサトウキビが栽培され、北中部のタインホア省とゲアン省では、コメや野菜などの栽培に適さない内陸部でサトウキビが栽培されています。中部では、ほとんどの地方でサトウキビが栽培されています。一方、ベトナム最大の農業生産地域である南部では、メコンデルタ地域のロンアン省、ベンチェ省、ハウザン省、キエンザン省などを中心にサトウキビが栽培されています。栽培地域が南北にまたがっていることから、栽培方法は多種多様となっています。その中で、傾斜地が多く、気温が低い北東高原地域では、サトウキビの単収は低かったものの、糖度は比較的高いため、サトウキビ生産は低調です。それに対し、土壌が肥沃で、気温が高い南部メコンデルタ地域では、単収が高く、1ヘクタール当たりの単収が100トンを超える圃場もあります。そのため、メコンデルタ地域はベトナムのサトウキビ栽培の中心ですが、糖度は他の地域よりも低いです。
ベトナムサトウキビ砂糖協会の統計によりますと、現在、サトウキビの栽培面積は15万ヘクタール以上で、よい天候により、2020・2021年度の収穫量は960万トンにのぼっています。特に、世界の砂糖の値上がりにより、サトウキビの仕入価格も高まり、農民の収入がかなり上がりました。実際、2017年~2019年にかけて、サトウキビ農家は、砂糖の値下がりによって大きな打撃を受けました。農家たちは、それを「苦いサトウキビ」と呼んでいました。
しかし、2020・2021年度は、「甘いサトウキビ」となっています。例えば、南部メコンデルタのハウザン省にあるフンヒェプ製糖工場の仕入れ価格は1キログラムにあたり、1180ベトナムドン(日本円で約6円)で、前年より44%増ともなっています。
ハウザン省フンヒェプ県ホアアン村に住む農家のグエン・タイン・ルオンさんは約1ヘクタールの土地でサトウキビを栽培しています。ルオンさんは、「この10年、サトウキビの仕入れ価格が最高となったことは何よりだが、肥料や人件費も上がったので、利益はそんなに高くなかった」と述べ、次のように語りました。
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「今回の仕入れ価格はキロ1180ドンですが、収穫のために人を雇わなければなりませんでした。新型コロナの影響で、その人件費が上がったので、1キログラム当たりの利益は約200ドンだけです。しかし、その2、3年前と比べて、その利益は大喜びですよ。」
一方、中部フーイエン省ソンホア県ソンフォク村に住む農家のソ・ミン・フンさんは3ヘクタールの土地でサトウキビを栽培しています。サトウキビの豊作と値上がりにより、1億ベトナムドン以上(50万円)の利益を得ました。フンさんは、「これは過去最高の利益だ」と述べ、次のように語りました。
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「かつては2ヘクタールの土地でサトウキビを栽培していましたが、今年は1ヘクタール増やしました。今年は1ヘクタールにあたり70~80トンのサトウキビを収穫しました。かなりの利益を得てうれしく思っています。」
2020・2021年度の収穫期には、ソンホア県にあるKCP製糖会社が収穫専用機を導入したことにより、収穫に必要な費用が削減されました。これは農家の利益の増加にも役立ちました。また、同社が農家に資金を提供するとともに、新しい栽培技術を教えたことも農家にとってありがたいことでした。同じくソンフォク村に住む農家のヴ・ヴァン・ハイさんの話です。
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「栽培機器も資金もあるなど、KCP製糖会社が助けてくれたので、私たちは安心して栽培しました。これにより、今年の収穫量は前よりかなり高くなりました。」
このように語ったハイさんは、今回の収穫は農家にとって「甘いサトウキビ」になったので、旧正月テトを楽しむことができたとし、これからも、「苦いサトウキビ」ではなく、「甘いサトウキビ」が続くようにという希望を示しました。