山崎 こんにちは、山崎千佳子です。
ソン こんにちは、ソンです。今日のハノイ便りは、タンロン遺跡とその保存活動についてお伝えします。
山崎 タンロン遺跡は、ユネスコの世界遺産に登録されていますね。うちも家族で見学に行きました。
ソン タンロン遺跡は、2010年に世界文化遺産として登録されました。11世紀から18世紀まで、ベトナムの王朝の都が置かれた場所なんです。
山崎 およそ800年という長い間ですから、いろいろな時代の遺跡があるんですよね。
ソン はい。長い戦争によって、多くの建築物が破壊されましたが、昔のタンロン城の遺跡が今なお残されています。
山崎 有名なものはいくつかありますが、正門である端門、端の門と書きますが、これはよくタンロン遺跡の象徴的なものとして、ガイドブックに載っていますね。石の門の上に黄色い中国風の建物、楼閣があります。夜はライトアップされて、幻想的な感じになりますね。
ソン そうですね。それから、タンロン遺跡の中心部にある敬天殿には15世紀のレー王朝時代からの石造りの竜が残されています。
山崎 まだ発掘も途中なんですよね。
ソン はい。タンロン遺跡からホアンジエウ通りをはさんだ発掘現場では、まだ調査が続いています。端門の裏側には、ガラスで覆われた発掘現場が保存されていますよ。
山崎 それも見ました。ベトナムの歴史研究家によると、遺跡の発見は本のページを順に開いていくようだったということですね。
ソン そうなんです。発掘現場の地下2メートルのところには13世紀のチャン王朝時代の遺跡がありました。その少し下、地下3メートルの場所には11世紀から12世紀のリー王朝時代の物が、さらに地下4メートルの深さには、タンロン城が建てられる前、中国支配時代のダイラ城の遺跡が眠っていたんです。
山崎 すごいですね。普通、そんな風に重なっていたら、きれいに残っていませんよね。
ソン そうですね。他にもタンロン遺跡には、フランス植民地時代に作られたいくつかの建築物なども残されています。
山崎 それも見学しました。ベトナム戦争の時に、北ベトナム軍の作戦司令部として使われていた地下室もありました。D-67と呼ばれる建物ですね。
ソン そうです。様々な年代のものがタンロン遺跡にあるんです。
山崎 ここで、一曲お送りしましょう。「~」です。
(曲)
「~」をお送りしました。
山崎 ユネスコの世界文化遺産として登録されてから5年が経ったタンロン遺跡ですが、発掘は続いています。同時に、観光ポイントとしての遺跡の効果的なPR方法も考えられているそうです。タンロン遺跡管理センターのスタッフ( Nguyen Van Son)の話です。
(テープ)
「世界遺産として認定されてから、タンロン遺跡を訪れる観光客が日増しに増えています。前と比べて、毎年、5万人から10万人増えています。特に、日本や韓国などアジア諸国からの観光客が急増しました。」
山崎 遺跡の保存というのは、長期的なものですよね。そういった観点からは、まだまだ始まったばかりと言えるかもしれませんね。
ソン そうですね。タンロン遺跡の地下や周辺の地区に、まだ発掘されていないものがたくさんあるんです。
山崎 ベトナム考古学協会のトン・チュン・ティン( Tong Trung Tin) 元会長の話です。
(テープ)
「これまでに行われてきた保存活動は、これからも続きます。同じく世界文化遺産である日本の奈良の文化財の研究も、この60年にわたって行われてきました。タンロン遺跡の発見から10年、世界遺産として登録されてから5年経ちました。遺跡の保存活動と研究は、計画に沿って着実に進んでいると言えます。」
山崎 タンロン遺跡の保存で難しいのが、各時代の遺跡が重なっているということです。例えば、地下にはリー王朝の遺跡、地上にはレー王朝時代に建設された宮殿、敬天殿があります。
ソン その他、インドシナ戦争の時に作られたものもあります。
山崎 「何を優先すべきか、その要素をきちんと決めた上で、保存についての方針を出すべき」と話す考古学研究者(グエン・クアン・ゴック)のコメントです。
(テープ)
「最も重要なのは、タンロン城です。同時に、近世の遺跡にも価値があります。様々な遺跡の保存は当然です。」
山崎 地下に眠っている遺跡から発掘されたわずかな破片でも、過去をひも解く重要な鍵になります。考古学研究者と遺跡管理者は、タンロン遺跡の保存のポイントとして、世界遺産の必要条件を再度考えることが大切としています。
ソン 顕著な普遍的価値を持つもの、という条件ですね。
山崎 難しい言葉です(笑)。いつの時代、誰が見ても、素晴らしいと思える値打ちを持っているもの、ですね。
ソン 世界的な遺産ですからね。
山崎 はい。では、おしまいに一曲お送りしましょう。「~」です。
(曲)
「~」をお送りしました。
今日のハノイ便りは、タンロン遺跡とその保存活動についてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。