(VOVWORLD) -昔から、「ノンラー」はベトナムの一般の人々の日常生活の中でお馴染みものの一つです。
「ノンラー」は菅笠のことで、ベトナム全土で用いられる三角の形をした山笠を大きくした感じの帽子です。昔から、「ノンラー」はベトナムの一般の人々の日常生活の中でお馴染みものの一つです。
ベトナムでは一般的にノンと呼ばれることも多いです。「ノン」 は笠、「ラー」 は葉の意味ということですが、日よけの役割が最大の用途ですが、多少の雨を避けるのにも役立っています。
イギリスのの旅行ガイドブックであるラフガイド(Rough Guides)が作成した世界の魅力的な伝統的装束のリストの中に、ベトナムのノンラーが入っています。「ラフガイド」ではノンラーを「最もベトナムらしさが目立つアイテム」としました。特に、フエのノンラーであるノンバイトー(詩菅笠)に注目し、「光にかざすと笠の内側に書かれた詩が浮かび上がる」と説明しています。
椰子の葉や竹といった素朴な素材を使って作られるノンラーはベトナム全土で売られています。ノンラーは日除け、雨除けとなるばかりでなく、バスケット、うちわ、装飾品ともなります。ノンラーとアオザイの組み合わせはベトナムの伝統的な美を象徴するものとなっています。
「ノンラー」の有名な産地の一つは中部トア・ティエン・フエ省です。フエのノンラーは品質がよいことで知られ、透かし模様や刺繍入りの美しいノンラーをつくる技術を持つ職人が多いとされています。
中部トア・ティエン・フエ省に住むグエン・タン・タオさんは、フエならではのお土産をつくるため、ハスの葉で「ノン」を作ることにしました。これまで、ベトナムの菅笠はラタニアの木の葉でできましたが、タオさんはハスの葉で菅笠を作った初めての人となりました。
タオさんは、ハスの葉で「ノン」を作るきっかけについて、「ある日、友達と一緒に、テインタム湖で舟を漕ぎ出して、ハスの花を採っていた時に、ハスの葉が厚く、柔らかいものであり、また、ハスはベトナムの国花としての存在でもあると思った。さらに、『ノン』とハスはフエのシンボルの一つでもあるので、ハスの葉で出来た『ノン』を作ることにした」と明らかにしました。
(テープ)
「現在のようなハスの葉で出来たノンを出来上げる前に、菩提樹などの樹木の葉の特徴を研究しました。当初は、ハスの葉に絵を描く為に研究しましたが、その研究過程では、ハスの葉が、菅笠を作る材料として使えることが分かりました。」
これを思ったタオさんは、ハスの葉で菅笠を作ることにしました。最初のハスの葉の「ノン」が出来上がるには数ヶ月間もかかりました。ハスの葉でできた菅笠を出来上げる為には、様々な工程を経なければなりませんでした。
湖で採ったハスの葉が汚れを洗い流すため、ジャベル水で洗われてから、乾燥させ、そして、葉のしわを伸ばします。ハスの葉で作られた菅笠の美しさはハスの葉の特別な緑にあるだけでなく、独特な葉脈によるものです。タオさんの話です。
(テープ)
「ハスの葉の菅笠は雨と太陽に強いという普通の菅笠の役割を果たさなければなりません。そのため、私はこの2つの役割を果たすため、ハスの葉を集中的に処理しました。」
グエン・タイン・タオさんのハスの葉の菅笠が初めて紹介されたのはフエ市で行われたベトナム・韓国文化交流の時でした。それから、外国人観光客だけでなく、地元の人々もこの独特な菅笠に興味を持つようになりました。ホーチミン市、ハノイ、ダナン市だけでなく、タイ、韓国からの注文もあります。現在、菅笠1個は25万ドン、約千2百円で売られています。
ハスの葉でできた菅笠の丈夫さはラタニアの木の葉でできた菅笠という従来のものと劣らないですが、ハスの葉でできた菅笠は実用のものより、展示や演奏に使うことに見合います。タオさんは次のように語りました。
(テープ)
「現在、ハスの葉でできた菅笠の形式をさらに完備させるため力を入れています。具体的には菅笠に使われるハスの葉がそのままの美しさが保たれるということです。」
ハスの葉でできた菅笠は自然の美しさとフエ市の職人の腕輪の器用さを結合させるものと言えます。これはベトナムの独特な製品でもあり、国内外の人々に愛用されています。
今日のハノイ便りは、ハスの葉で「ノン」を作る中部古都フエの若い男性タオさんについてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。