ベトナムの身近な話題をお伝えするハノイ便りの時間です。
山崎 こんにちは、山崎千佳子です。
ソン こんにちは、ソンです。
山崎 今日のハノイ便りのテーマは、ずばりハノイということなんですが、ソンさんはハノイ出身、ハノイ生まれですよね。
ソン はい。今日ははりきってハノイをご紹介したいと思います。
山崎 日本語課のスタッフのみなさんは、ハノイ出身ですか?
ソン (コメント)
山崎 こう言ったらあれですけど、ハノイはベトナムの首都なのに、ホーチミンの方がメジャーですよね。海外からお店が出店する時も、まずホーチミンに出来たりして。
ソン そうですね。ホーチミンは商業都市ですからね。でも、ここのところ、世界的な旅行サイトが、ハノイをアジアでの魅力的な観光地として選んでいるんですよ。
山崎 知りませんでした。どこのサイトですか?
ソン 例えば、世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」は、世界の観光地ベスト25の中で、ハノイを8位に挙げています。イギリスの日刊紙、デイリー・テレグラフ電子版では、ハノイが世界で印象的な食文化がある都市の1位に輝きました。
山崎 すごいですね。これは、オバマブンチャーの影響でしょうか?
ソン そうだと思いますよ。ハノイ便りでもお伝えしていますが、5月にアメリカのオバマ大統領がベトナムを訪問した時に、ハノイでブンチャーを食べました。その様子がアメリカのニュース専門局、CNNで放送されたんです。
山崎 世界中に広まったという訳ですね。
ソン はい。ハノイの名物料理もいろいろありますが、最近はブンチャーが外国人に注目を浴びています。2014年には、アメリカの月刊誌、ナショナルジオグラフィックのウェブサイトで発表された「世界のストリートフード10選」の1つに、ブンチャーが入りました。
山崎 同じくハノイ料理のフォーはもう世界的に有名ですから、次はブンチャーなのかもしれませんね。ブンチャーとはこんなもの、というのもハノイ便りで何回かお話していますが、ちょっとおさらいしてみましょう。
ソン はい。ハノイ人が週に何回も食べるブンチャーは、揚げ春巻きや炭火で焼いた豚バラ肉の薄切り、つくねをヌックマムのきいた甘酸っぱいタレに入れて、米の細麺ブンと一緒に食べるものです。
山崎 ハノイの街中では、いたるところにブンチャー屋さんがありますよね。お店はもちろん、屋台もたくさんあります。日本では「ベトナム風つけ麺」などと紹介されているようです。
ソン そして、アメリカのビジネスニュース専門サイト、ビジネス・インサイダーは、2013年に、「一度は試したい世界の料理40」の中で、牛肉入りのフォー 「フォー・ボー」をトップに挙げています。
ブンチャーセット(米の細麺ブン、揚げ春巻き、炭火で焼いた豚バラ肉の薄切り、タレ、生香菜等)
山崎 へえ。フォーをより特定していますね。ここで、ハノイ市観光局局長( Do Dinh Hong)の話です。
(テープ)
「ハノイの飲食文化の積極的なピーアールを考えています。ハノイには名物料理がたくさんあります。観光客の趣味嗜好をつかんでそれに応えることが、私たちの重要な任務です。まず、ハノイの食をピーアールしようと思っています。」
山崎 ハノイ旧市街の屋台や屋外で、食べたり飲んだりしている外国人観光客も多いですよね。欧米系の人はオープンエアが好きですから、道端で飲む生ビールなどは大好きでしょうね。
ソン そうですね。それから、ハノイの人たちが親切でいい、という声も聞きます。
山崎 実際、外国人観光客はどのように思っているんでしょう?フランス人観光客のコメントです。
(テープ)
「ハノイが大好きです。特に、落ち着いた雰囲気と人々の親しみやすさが気に入っています。毎年、夏休みには家族全員でハノイを訪れています。」
山崎 世界各国、ありとあらゆる場所がある中で、毎年の訪問というのは、本当にハノイが好きなんですね。ソンさん、うれしいですね。そして、イギリスから訪れた人の話です。
(テープ)
「ハノイの人はエレガントで、謙虚、そして温かいもてなしの心を持っていると思います。家族や伝統を大切にしますし、ハノイの歴史を誇りに思っているのもいいですね。」
山崎 街並みも外国からの訪問者を引き付けるようです。昔からあるフランス風建築様式の建物と、最近よく見られる高層ビルのコントラストがいいようです。ハノイに住んで2年になるイギリス人の話です。
(テープ)
「ハノイの人達はよく通りの道端など屋外にいますね。ヨーロッパ北部に住む私たちは、気候のせいもあって、ほとんどの時間を家の中で過ごします。ハノイとは反対ですね。道端では食べ物を売る多くの屋台があったり、天秤棒や自転車でいろいろな物を売る人もよく見かけます。夜になると、公園に人が集まって、ダンスなどをしています。そんなこの町が大好きです。」
山崎 このかたのコメントで思い出しました。私もいつも思っていたんです。なんでこんなにみんな外にいるのかと。私なんかは家でゆっくりする方がいいと思ってしまうんですけど。
ソン ハノイというか、ベトナム人は人と話すことが好きなんです。他の人と関わりたいというか交際好きと言うんでしょうか。なので、外に出ている人が多いんだと思います。
山崎 なるほど。ここまでハノイの食べ物や人について話してきましたけど、千年の歴史をもつハノイには観光スポットも結構ありますね。
ソン はい。ハノイ市内中心部はそんなに広くないんですが、見所がいろいろあります。例えば、文廟、タンロン遺跡、一柱寺、ロンビエン橋などです。
タンロン遺跡
一柱寺
山崎 タンロン遺跡はユネスコ、国連教育科学文化機関の世界遺産として登録されていますね。
ソン はい。2000年に登録されました。タンロン城は、1010年から李王朝の王宮となり、200年以上にわたって、封建時代の皇帝の居城として使われました。
山崎 そして、文廟の一部が、2010年にユネスコの「世界の記憶」に登録されているんですね。これは以前は「世界の記憶遺産」と言われていたんですが、今は「世界の記憶」と訳されています。
ソン はい。文廟は1070年に建立されました。1076年にはベトナム初の大学となる国子監が敷地内におかれ、王族や貴族の子弟や官僚が学びました。
山崎 「世界の記憶」に登録されているのは、文廟の何でしょう?
ソン 敷地内にある石碑です。1442年~1779年まで行われた官僚登用試験の科挙の合格者の名前と出身地を刻んだ82の石碑が世界の記憶に登録されています。
山崎 今日のハノイ便りは、ハノイの食と観光スポットについてお伝えしました。私の知り合いは、確かにホーチミンの方が発展していて便利だけど、自分はハノイの素朴な感じの方が好き、と言っていました。リスナーのみなさんも、ぜひいろいろなハノイを体感してみてください。では、おしまいに一曲お送りしましょう。「~」です。
(曲)
「~」をお送りしました。それでは、今日はこのへんで。