(VOVWORLD) - この20年間、ハノイ水利大学の多くの学生は日本人の田中仁教授の指導を通じ、学習と職務で大きな成功を収めてきました。田中教授の知識と人格はこの大学の教員と学生の模範となっています。
授業中の田中教授 |
ハノイ水利大学を卒業したばかりのグエン・ニャット・ミンさんは、2か月後にドイツへ修士コースを受講しに行く予定ですが、現在水利大学で田中教授の授業を受けています。ミンさんは「田中先生の功績は素晴らしく、学生にもとても親切で、先生の知識を共有してくださいます。先生が持てる知識を残らず、学生に引き継いでくださるという感じがしています」としています。
一方、水利大学の4年生ダン・コン・フックさんは当初海岸工学を専攻していませんでしたが、田中教授と、同大学の副学長グエン・チュン・ベト教授の話を聞いて、海岸工学を修士コースで専攻することにしました。フックさんは「田中教授の研究を調べると、海岸工学に関する興味が芽生えてき。ベトナムでは、海岸工学を専攻する優秀な学生が少ないので、この分野の専門家になって国に貢献したいと思う」と述べ、「先生はとても親切で、授業では学生ともオープンに話し合ってくれた」としています。
フックさんのほか、ほとんどの学生が田中教授の外向的な性格とユーモアのある話し方、そして、エネルギッシュな教え方により、教授の授業に夢中になっています。また、豊富な知識と経験、その中で、成功はもちろん、失敗談も率直に共有されることが学生から好評を得ています。こうして田中教授は、水利大学の多くの学生に学習と研究への興味を芽生えさせました。
田中教授(右)とベト教授(左) |
田中教授とベトナムとの縁は1991年に遡ります。教授は1991年から1993年までタイ・バンコクのアジア工科大学に派遣され、そこで修士のベトナム人学生を指導しました。そのあと、日本に戻り、東北大学の博士コースの学生であった現在のハノイ水利大学副学長グエン・チュン・ベトさんを指導することになりました。こうしたつながりにより、ハノイ水利大学の学生に教えることになったのです。
田中教授によりますと、津波や海岸浸食、洪水などさまざまな自然災害に見舞われる日本は、それらの予防・対処のための対策を取っていましたが、その中には成功もあれば、失敗もあるとしています。そのため、ベトナム人には知識だけでなく、日本の両方の経験を共有したいという願望を強く持っているとしています。
ハノイ水利大学の副学長グエン・チュン・ベト教授は、海岸工学と水工学の研究を始めたときから田中教授にさまざまな支援と指導を受けてきました。東北大学で博士コースを受講したときはもちろん、ベトナムに帰ってきてからも、田中教授は常に、ベト教授とともに歩んでいます。ベト教授にとって、過去20年以上、海岸工学と水工学における世界の一流の専門家である田中教授と一緒に研究・仕事をするのは最大の幸運です。豊かな知識と経験のほか、学生に対する情熱と愛情を持った田中教授はベト教授の模範となっています。
ベト教授は「田中教授は世界的にも優れた専門家であり、素晴らしい先生でもある。ベトナムのことが大好きで、日本の技術、および失敗を含む経験をベトナムに共有してくれている。ベトナムが自然災害の予防対策で時間とコストを軽減できるようにという願望をお持ちである」としています。
現場を視察中の田中教授(一番右側) |
ベト教授によりますと、田中教授の支援により、ハノイ水利大学は日本の様々な組織との協力関係を築けたとしています。2006年から、日本の公益財団法人「土木学会」などとの連携により、多くの国際科学シンポジウムを行ったほか、共同研究や、学生交換プログラムなども展開しました。これはベトナムの海岸工学や水工学の発展に必要な人材の育成と知見の共有につながってます。また、田中教授は何度もベトナム各地を回って自然災害の予防施設を視察・調査したとしています。
田中仁教授はベトナムの海岸工学と水工学の発展に貢献するだけでなく、両国のつながりを強くしていることでしょう。