(VOVWORLD) -ベトナムで昔から、旧正月テトがやってくると、人々は知識が高い儒学者や書道家の家に行き、対句など文字を頂いて、家に飾る習慣があります
ホアイ こんにちは、ホアイです。
ソン こんにちは。ソンです。ベトナムの伝統的旧正月テト明け最初のハノイ便りとなります。ホアイさんは楽しいテトを過ごしましたか?
ホアイ 親族の家を訪ねて、テトの挨拶をしたり、ごちそうをしたりするなど忙しかったです。今年のテト休みは7日間ですが、あっというまに過ぎましたよ。
ソン そうですね。テトが明けると、ベトナム全国各地で様々な祭りやイベントが行われています。今日のこの時間は毎年の春に開催される書道の文字を授かるという書道祭についてお伝えしましょう。
ホアイ ベトナムで昔から、旧正月テトがやってくると、人々は知識が高い儒学者や書道家の家に行き、対句など文字を頂いて、家に飾る習慣があります。
ソン 人々はこれらの漢字を家に飾ると、その1年に、子供たちが学習面でよい成績を収め、家族が幸せになると信じています。また、これは文字を大切にして、文字を重視するというベトナムの良き伝統の表れですね。
ホアイ そうですね。現在も、そのよき伝統が引き続き受け継がれています。毎年、テトになるとハノイの文廟で、書道の文字を授ける書道祭が開かれます。ハノイを始め、各地方から書道家が多数参加しています。
ソン 書道の文字を授かることは縁起の良い漢字や自分の目標などを中国の漢字を使って書道家に書いてもらうもので、古くから伝われた風習です。今、ベトナムでは漢字がわかる人が少ないので、ベトナム語で使うアルファベットのクオック・グーで書くものが多くなっていますね。
ホアイ そうですね。書道祭には、さまざまなブースが出ています。ここに行く人々は、自分の好きな文字や言葉を選んで、書道家に書いてもらうのです。
ソン 書道家は毛筆で文字を描きながら、人々にその文字の意味を説明してくれます。新年には、自分がしっかりがんばるようにとの願いを込めた「心」「忍」「順」や、縁起のいい「福」などの文字がよく選ばれています。
ホアイ その中で、青年、学生は聡明の「明」や知恵の「知」、などをよく選び、自分が学習面で多くの成績を収めることを望んでいます。しかし、お年寄りは平安の「安」、道徳の「徳」、「心」などをよく選んで、新年に家族が平安で幸福になることを願っています。
ソン 現在、書をお願いした人々は老若男女様々ですね。文字の意味をよく理解できるお年寄りだけでなく、子供たちや青年も多くいます。書をお願いした人の一人ドゥ・ゴック・ロンさんの話を聞いてみましょう。
(テープ)
「毎年、書をお願いに来ますが、年により、文字が違います。その文字はその1年に最も望んだことを示しています。最初の年に書をお願いに来た時、すべての物事を変化させたかったから、知恵の「知」をお願いしましたが、次の年は「幸福の「福」を、そして、次は「禄」をお願いしました。昨年、仕事を変えたいので、職業の「業」を、今年は繁栄の「栄」を選びました」
ホアイ 人々は授かった文字は、持ち帰って自宅に飾ります。書道家の一人チュ・バン・ティン( Chu Van Thinh) さんの話です。
(テープ)
「毎年、テトがやってくると、書道家である私たちはここに来て、書を創ります。これはベトナムの伝統的文化の一つです。新年になると、誰もがその1年が幸運で、順調な年になることを望んでいます。新年に長寿の「寿」や幸福の「福」、孝行の「孝」、順調の「順」を選ぶ人が多いです。作品としての書を創る時、心を込めます。書には倫理や道徳を教育する意味がありますよ」
ホアイ このように、それぞれの書道作品は書道家一人一人の心や創造性を示していると言えます。また、書道家は書をお願いした人の気持を理解しなければなりません。書道家グェン・ヌー・ファック( Nguyen Nhu Phach) さんは次のように語りました。
(テープ)
「私達書道家は書をお願いした人は真心があることを望んでいます。自分や家族に幸福や幸運を求めますが、自分だけでなく、他の人々に対して、思いやりの心を持たなければならないということです。」
ホアイ 書の作品は様々な材質に示されています。昔は大部分、ゾーの木の皮から作ったゾー紙で書かれましたが、現在、陶器や木材、籐など様々な材質で示されています。
ソン 数十年前、書道文化が無くなる恐れもありましたが、最近、復活してきました。毎年、テトがやってくるとハノイの文廟で開かれる書道祭はベトナムの春のよき伝統的文化の一つと言っても過言ではないですね。
では、おしまいに一曲お送りしましょう。「~」です。
(曲)
「~」をお送りしました。今日のハノイ便はベトナムの書道文化についてお伝えしました。それでは今日はこの辺で。