若者によるボランティア活動

山崎  こんにちは、山崎千佳子です。 

ソン  こんにちは、ソンです。今日のハノイ便りは、若者によるボランティア活動についてお伝えします。

山崎 先月14日から続いている熊本地震でも、たくさんの人がボランティアに行ったり、行きたいと言う人が多いようです。

ソン そうですね。私は日本にいた時、東日本大震災の被災地で、ボランティア活動がとても盛んだったことを取材しました。

山崎 何かあった時にすぐにボランティアが動くというのは、すばらしいですね。ベトナムでのボランティアはどうですか?

ソン はい。貧しい人たちを支援したり、自然を守るなどのボランティア活動が、ニュースなどでよく取り上げられています。今日は2つのボランティアグループをご紹介します。まず、ハノイ・ヤング・インスパイアーズ(Hanoi Young Inspirers)です。

山崎 ハノイ・ヤング・インスパイアーズ。直訳すると、ハノイの若い元気を与える人、刺激を与える人、ですね。

ソン そうですね。周囲の人を刺激する若者、という感じでしょうか。

山崎 そのグループの名前は、自分たちで状況を変えていくぞ、という意気込みが伝わりますね。もうどれぐらい活動しているんですか?

ソン このグループは、昨年の末にできたばかりなんです。

山崎 まだ半年たっていないんですね。何がきっかけで活動を始めたんでしょう?

ソン はい。どんどん豊かになってきているハノイでも、食べる物に困っている人がいるという現実があります。こういった人たちを何とか助けたいという思いから、およそ20人の若者でこのボランティアグループが始まりました。

若者によるボランティア活動 - ảnh 1
貧しい労働者にパンを配っている
ハノイ・ヤング・インスパイアーズのメンバー

山崎 食べ物に困っている人というと、貧困層の人達が対象ですか?

ソン そうです。ホームレスやストリートチルドレン、体の不自由な人、病気を抱える人達などに、心を込めて食べ物を提供するという理念を掲げています。

山崎 心を込めて、というのがいいですね。ハノイ・ヤング・インスパイアーズのメンバー(ブイ・ダン・ロンさん)の話です。

(テープ)

「私たちが支援の対象にしているのは、貧しい肉体労働者、患者、身体障害者、ホームレスです。その中でメインに考えているのが、貧しい肉体労働者です。食べ物を配布している時に気づいたんですが、肉体労働は仕事がとてもハードなのに、その収入だけでは生活できないんです。社会がこのことにもっと注目すべきです。」

山崎 およそ20人で始まったハノイ・ヤング・インスパイアーズだそうですが、この4カ月でメンバーは増えました?

ソン はい。100人を超えています。

山崎 すごい伸びですね。いいですね。貧しい人たちに食べ物を配るということですが、具体的にはどのようにしているんですか?

ソン グループのメンバーたちが、自分のお金と寄付されたお金を使って、おかゆやパン、弁当などを無料で配っています。今までにおよそ800人分の食事を配布したそうです。

山崎 若い世代ですから、自分の自由になるお金というのもそんなにはないですよね。

ソン そうですね。でも、こういった活動がいろんな意味で勉強になっているそうです。毎週水曜に、生活が苦しい肉体労働者が大勢いる場所や病院などへ行って、心を込めた食事を配っているということです。メンバーの1人、ハノイにあるタンロン大学2年生(ヴ・キム・チさん)の話です。

(テープ)

「病院でおかゆを配った時に、忘れられないことがありました。おかゆは普通お茶碗いっぱいによそうんですが、あるおじさんは途中で、“これでいい。後の人に配ったらいい。食べ物が足りない人がたくさんいる。”と言ってくれたんです。その瞬間、自分のボランティアの意味がわかりました。同時に、自分自身、今まで他の人の役に立つ物を捨ててしまっていたことを反省しました。」

ソン このボランティアグループ、ハノイ・ヤング・インスパイアーズは、より多くの人を支援するため、これからフェイスブックなどを通じて、メンバーと財源を増やしていくということです。

山崎 ここで、一曲お送りしましょう。「~」です。

(曲)

「〜」をお送りしました。

ソン 後半はもう1つのボランティアグループをご紹介します。環境汚染は世界の差し迫った問題ですよね。

山崎 そうですね。大分前から言われ続けています。

ソン ベトナムでも社会の関心を集めているんですが、その環境問題の解決に貢献したいというボランティアグループが増えつつあります。

山崎 これもハノイのグループですか?

ソン いえ、中国との国境にあるラオカイ省にあるグループです。

山崎 ラオカイ省は避暑地のサパがあるところですよね。

ソン はい。でもサパではなくて、ラオカイ省のバックハーという町で設立されたボランティアグループです。「大切なバックハーの会」というグループです。

山崎 大切なバックハーの会。バックハーには何があるんですか?

ソン いくつかの観光スポットがあります。毎年、競馬大会が行われていますし、少数民族のモン族のかつてのリーダーの別荘があることでも有名です。

山崎 バックハーは大きな町なんですか?

ソン いえ、面積はわずか2平方キロメートル弱で、人口は3千人ほどと、小さな町なんですが、環境保護という点で問題があったんです。

山崎 町の開発が進んだとか、ですか?

ソン いえ、ゴミです。町の中心にある湖やメインストリートなど、いたるところにゴミが沢山ありました。これは何とかしなければということで、町の若者が、2012年12月12日にボランティアグループを発足させました。

山崎 12が3つ並びの日ですね。やはり初めの人数は少なかったんですか?

ソン そうですね。メンバーは数人でした。今は100人を超えています。それに、グループのフェイスブックには4千人以上のメンバーがいて、町の内外の人たちの関心を集めています。

山崎 大切なバックハーの会の具体的な活動はどんなものでしょう?

ソン 週末になると、メンバーが町を回ってゴミ拾いをしています。また、環境に対する町の人の意識を高めるために、「町をきれいにしよう」とか「ゴミを勝手に捨てないで」という看板を設置しています。個人の家を訪ねて、環境保護の重要性を話したりもしています。

若者によるボランティア活動 - ảnh 2

ごみ収集をしている「大切なバックハーの会」のメンバー


山崎 積極的な活動ですね。グループのリーダー(グエン・ミン・ヴォンさん)の話です。

(テープ)

「川や湖などに勝手にゴミを捨てたりと環境への意識が低い人に、気づきを与えるのはとても大切なことです。が、簡単ではありません。時間もかかります。なので、PRや啓蒙活動に重きを置いています。人の意識が変わらないと、町はきれいにならないんです。」

山崎 そうですね。ゴミを捨てられる前に捨てられないようにする意識改革は大事ですね。

ソン はい。大切なバックハーの会の活動によって、町の人達の環境保全への感覚は変わって来たようです。前より町がきれいになっていると言われています。グループのメンバー(トン・ティ・トゥ・フォンさん)の話です。

(テープ)

「私は大切なバックハーの会が出来た時から、いろいろな活動に参加しています。小さなことでも、町をきれいにするために役立っていると思います。これからも、より多くの人に手を貸してもらって、みんなできれいな町づくりをしていきたいと思っています。」

ソン グループは、バックハーの町だけでなく、周辺にもこうした活動を広げて、環境保護のためのボランティアネットワークを作っていきたいということです。

山崎 次の世代につなげられる若者が積極的に関わっているのがいいですね。もちろん、環境問題は全ての世代の意識と行動が大事です。ベトナムにもどんどんその考えが浸透していくといいですね。では、おしまいに一曲お送りしましょう。

(曲)

「~」をお送りしました。

今日のハノイ便りは、若い世代が行っているボランティア活動についてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。


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