チュオン村の「ノンラー」の職人タ・トゥ・フォンさん
(VOVWORLD) -
ベトナムのノンラーは、アブラヤシのような植物の葉でできた
円錐形の笠であり、昔から、「ノンラー」はベトナムの一般の人々の日常生活の中でお馴染みものの一つです。
ハノイ市郊外タインオアイ県にあるノンラーを作るチュオン村は、400年の歴史を誇っています。現在、ノンラー作りに従事する人は少なくなっています。そこで、「ノンラー」職人は、この伝統工芸の維持と発展に取り組んでいます。ター・トゥー・フォンさんはこれらの職人の一人です。彼女は、ノンラー作りに夢中になっているだけでなく、ノンラーを多くの国に輸出しています。
フォンさん |
フォンさんは次のように語っています。
(テープ)
「一つのノンラーは原料の仕入れから始まり、様々な工程を経て作られます。生のアブラヤシのような植物の葉を天日干した後、平らにします。次は、竹ひごで作った骨組みに、乾燥したアブラヤシの葉を乗せ、ヒモで縫い合わせ、シルクをカバーすることで完成します。1つのノンラーを完成させるためには少なくとも5時間はかかります」
チョオン村のノンラーの中で、最もユニークな物は、フォンさんの発想で作られたシルクカバー笠です。このシルク笠は、従来からの笠にシルクをカバーして、作られたものです。
ノンラー作りの職人は次のように語っています。
(テープ)
「私の両親、子どもたちは、ノンラー作りに習熟しています。現在では、従来からの色柄がないシンプルなノンラーの他にも、シルクカバー笠、絵付けノンラー、刺繍の入ったノンラーを作ることができます」
フォンさんは、およそ50年間にわたって、ノンラー作りの職人として活躍しています。彼女は、この伝統的職業の維持に尽力しています。フォンさんは次のように語っています。
(テープ)
「小さい頃、村民たちが、沢山のノンラーをもって、周辺の村や町を回って売り歩きましたが、売り切れなかったため、そのままの格好で家に戻ってくるのをよく目にしました。その時に、彼らは、『今日はおコメを買うためのお金がない』と寂しい声で話し合いました。村民の苦労をよく理解した私は、高校卒業後、チュオン村のノンラーを輸出入会社にもっていって紹介しました。色々な苦労を経て、やっと、フンイエン省のある輸出入会社から最初の注文を受けました」
顧客の多様なニーズに応えるように、フォンさんは多くのユニークなノンラーを発想しました。彼女のノンラーは日常生活に使用されるだけでなく、巧みに描かれた絵画のような芸術作品だとされています。
フォンさんはまた次のように明らかにしました。
(テープ)
「輸出向けのノンラーの場合、それぞれの国の消費者の好みによって様々な模様を施したノンラーを作ることができます。消費者の要求に対応できたことで、彼らは私たちが作った製品を愛用するようになるからです」
毎年、フォンさんのノンラー工房は、日本、韓国、欧州諸国に合わせて2万ないし3万個のノンラーを輸出しています。これにより、フォンさん一家は高い収入が得られ、20人余りの村民が安定した職業に就労できています。
フォンさんはさらに次のように語っています。
(テープ)
「従来の笠ノンラーにシルクを覆い、シルクの笠を作りはじめた頃には、失敗もあるし売れないものもありました。しかし、現在では、シルクカバー笠は国内各地の消費者が愛用するようになり、売れ行きは好調です。シルクカバー笠作りが上手な人が多いです。従来の菅笠作りと比べ安定した収入を得られています」
ベトナム人にはお馴染みのノンラー笠に夢中になっているフォンさんは「笠の大使」と多くの人から愛称で呼ばれています。