(VOVWORLD) -5月20日、ハノイで、「ドイモイ事業30年の足跡」をテーマにした表彰式が行われました。国の経済発展事業や、国防・安全保障、科学技術、愛国運動などに多くの貢献があった18人が表彰されました。
「ドイモイ事業30年の足跡」をテーマにした表彰式 |
その中に、国立血液輸血研究所所長のグエン・アン・チー博士がいます。今回が2度目の表彰です。チー博士は1957年生まれ、ベトナム中部クアンビン省出身です。
チー博士 |
高校卒業後、ビン師範大学の物理科への入学を考えていましたが、急性のマラリアで入院。大学入学試験をあきらめざるを得ませんでした。しかし、その時は不運とも言うべきこの出来事のおかげで、今のチー博士があるのです。博士の話です。
(テープ)
「高校時代に、文学や物理学などが好きになりました。しかし、急性のマラリアにかかって、病院で治療をしなければなりませんでした。入院中、お医者さんから自分の命を救ってもらったことで、医療関係の職業は人間にとって本当に必要なものだとわかりました。それをきっかけに、ハノイ医科大学に行きたいと思いました。」
1976年、チー博士はハノイ医科大学の入学試験に見事合格。卒業後に、ベトナム・ソ連友好病院の血液輸血科に勤務しました。血液に関わる病気の治療や研究を行ったほか、学生を指導する教授の仕事も兼務しました。2003年には、保健省所属の国立血液輸血研究所所長に就任。これまでに、250もの研究結果を発表しています。血液・輸血学についての本も18冊出していて、この分野における権威となっています。こういった学者としての活躍の他に、社会貢献という点でも大きな功績を残しています。献血運動を社会に広めたことです。チー博士の指揮の下、国立血液輸血研究所はベトナム赤十字社やホーチミン共産青年同盟などの組織と連携して、全国規模で個人の自発的な献血運動を進めてきました。また、全国民が献血ボランティアに参加する運動や、献血運動のためのイベントやプロジェクトを主催して、どれも成功させました。特に、博士が提唱した「赤い春祭り」と呼ばれる献血運動は、年々、様々な年代の参加が多くなっています。これによって、血液不足が解消されています。
一方、チー博士は、人を教えるということでも、多くの優れた学者や医師の育成に貢献してきました。現在、国立血液輸血研究所の幹部になっている教え子の話です。
(テープ)
「先生は、医者や学者の人格、特に、仕事に全力を尽くすということにおいて、すばらしいお手本です。患者さんにもいい影響を与えていると思います。私たちのような若い世代は、先生から色々なことを学んでいます。」
医学分野での優れた研究と後進の指導、さらに献血運動への貢献で、チー博士は、「労働分野での国民的英雄」「人民の医師」という国家の称号と一等労働勲章を授与されています。