少数民族モン族の女性は、幼い頃から、祖母、母親から、刺繍、裁縫などを教わります。現在、モン族の多くの女性は、家族全員向けの刺繍、裁縫をするだけでなく、モン族の伝統衣装のオーダーメイド専門店を営んでいます。北部山間部ソンラ省トアンチャウ県フォンライ村にすむタオ・ティ・ゼーさんはその一例です。

ゼーさん

ゼーさんは、顧客のニーズに十分応えられるように、縫製設備を購入したり、さまざまな模様の布を豊富に取り揃え、縫製技能を改良しました。ゼーさんは次のように語っていす。

(テープ)

「イメージと違わない衣装を作るためには、縫製に関する基礎知識や基本的テクニックを身に付けなければなりません。そこで、この店を開業する前に、１カ月にわたって民族衣装に関する基本的な仕立てを学びました」

モン族の民族衣装の縫製には勤勉さと細心の注意、キレイな縫い目が必要ですし、生地を複数組み合わせることや、スカート、頭巾、特にイブニングスカート、ステージ衣装にユニークで革新的な模様を刺繍したり縫製したりすることも重要です。さらに、

ゼーさんが作ったモン族の民族衣装

スカート、ブラウス、袖などに模様やビーズ、コインなどを丁寧につけて縫い合わせなければならず、ぴったりとフィットさせるには大変な労力がかかるそうです。モン族の人の普通の伝統衣装の場合は 1∼ 2 日間、精巧な衣装の場合は 10 日間以上もかかります。ですから、ゼーさんは毎月平均10着の衣装しか縫製できません。

ゼーさんはまた次のように語りました。

(テープ)

「顧客の様々なニーズに応えるように、結婚式や、祭り、旅行などに着用される革新的な衣装を作ることもできます。その一方で、衣装のレンタルサービスを展開しています」

ゼーさんは、さらに、村民の女性にも民族衣装の刺繍技術、縫い方などを教えています。トアンチャウ県フォンライ村ナムザット集落に住むスン・ティ・マイさんは、次のように語っています。

(テープ)

「ゼーさんはダイナミックな人で、綺麗な刺繍、縫い方のために常にアイデアを持っている人です。私は、彼女から民族衣装の刺繍技術、縫い方を教えてくれた後には、現地で民族衣装の縫製専門店を営むようになりました。そのお陰で、以前より安定した生活を送れるようになっています。ゼーさんにはとてもありがたく思います」

フォンライ村に住むゼーさんと他のモン族の女性たちは、自分の努力で、伝統文化の美しさの維持と発展に貢献しています。