バクニン省はベトナム北部の名所旧跡を抱える地として国内でよく知られています。特にドォン川の岸には「キンズオンブオン」という神社の遺跡群があります。バクニン省、トァンタイン県、アル村にあるこの遺跡群はベトナム民族の歴史資料収蔵庫の代表的遺跡と言われています。毎年、この遺跡群を訪れる観光客は数万人にのぼっています。
アルという村はドォン川の岸に沿った古村です。この村の中には99の池と99の丘があり、「龍・鳳凰・麟、亀」という4の希少動物の姿を現す土地と思われています。この地はベトナムの始祖伝説に繋がっています、伝説によりますと、「ラクロンクァン」という男性は「アウコー」という美女と結婚しました。そして、アウコーは100個の卵をうみ、100人の子供を作りました。大人になった50人の子供は森に向かい、残りの50人は沿海部に向かいました。ドォン川の南岸にある「キンズオンブオン」神社はラクロンクァンという始祖を祀るものです。また、東方には「アウコーという女神」を祀る神社があります。
1949年から1952年までフランス軍がアル村を占拠していた時期に、この遺跡群を破壊しました。1971年に入り、アル村の人々は「キンズオンブオン」神社を改修し、2000年に再びこの遺跡群は改修されました。
首都ハノイからやって来たタインマイさんは次のように語りました。
(テープ)
「キンズオンブオン」神社を訪れるのは今回で2回目です。今回、私は孫を連れて国の歴史や民族のよき伝統を紹介するため、この神社に来ています。そんな素晴らしい遺跡は永遠に守られるよう期待しています」
歴史の浮き沈みの中でも、この遺跡群は保存されてきました、その中には、1840年に建てられた石碑も残っています。「キンズオンブオン」神社と「アウコー」神社では数多くの貴重な骨董品が保存されています。
アル村に住むビェン・スァン・サンさんは次のように語りました。
(テープ)
「我々は「ラクロンクァン」と「アウコー」という始祖の子孫ですから、本当に誇りに思います。ですから、ご先祖を祀るのは当たり前です。この遺跡群は激しい戦争の被害を受けましたが殆どの遺物が残っています」
毎年、旧暦の1月16日に、「キンズオンブオン」祭りが開かれ、ベトナム各地の人々は「ラクロンクァン」と「アウコー」の恩を報いるため、この遺跡群を訪れて、神社に線香を手向けます。この祭りはベトナム民族の誇りや大団結の精神を表すものであり、ホン川デルタ地域の水稲文化の美しさを示すものでもあります。
「キンズオンブオン」神社管理委員会のビェン・スァン・ファム委員長は次のように語りました。
(テープ)
「数千年にわたり、この地に住む多くの世代は「キンズオンブオン」始祖を祀る神社を守ってきました。この神社はベトナム民族の魂です。バクニン省の行政当局はこの遺跡群の保存に深い関心を寄せています」
1993年、「キンズオンブオン」神社を含む遺跡群は国家レベルの歴史遺跡として認定されました。バクニン省の行政当局はこの遺跡群がベトナム北部の観光スポットとなるようにツアープランを立ています。