木版画で有名な村 ドンホー村は首都ハノイから35キロ離れました。ホン川(紅河)の支流のドゥオン川に沿ったこの村はバクニン省、トァンタイン県にあります。200世帯ほどの小さな村です。
北部の諺には「所帯を持つお嬢さんよ、僕と一緒にドンホー村に来てね、僕の村には美しい川も木版画もあるよ」と言っていました。この諺はドンホー村の美しさやベトナムの精神を表すものです。
ドンホー版画が製作されるようになったのは16世紀頃とされています。そして17世紀~18世紀にかけて発展したともいわれますが、諸説があります。ベトナムの生活、風物詩、教訓、風刺などが描かれ、ベトナム語で現在は使用されていないチュヌムの言葉が添えられることがあります。
昔、庶民は貧しかったので、せめて正月だけは華やかにしたい、また将来の幸福を願って作られたのがこのドンホー版画だといわれています。現代ではおめでたいもので、新年を祝賀する縁起物として旧正月テトの時期に家庭で飾られます。また、ベトナムの伝統的な版画として国際的に名の知られる存在となった現在、外国人観光客がベトナムの特産として買い求められています。
サムさん
ドンホー村の有名な職人はグェンヒュサム(Nguyen Huu Sam)さんです。今年80歳のサムさんは数百年前の木版画を保存しています。サムさんは次のように語っています。
(テープ)
「昔、ドンホー版画は旧正月テトによく飾られたものです。「バインチュンと同じように、テトには絶対に欠かせないものです」
ドンホー版画の画材は全て、自然の材料が使われています。版画に使われている紙は「ゾー」という木の樹脂からできていて、具財も多様な木の葉を使っています。絵具の耐久力は強く、太陽光にさらされても色褪せしにくいという特徴があります。ドンホー版画を作る時、職人は黒、緑、赤、黄色、青などの主な色を利用します。50年間にわたり、ドンホー版画を作っているグェンディオアン(Nguyen Thi Oanh)さんは次のように語っています。
(テープ)
「朱色を作るため、レンガを磨きます。黒色を作り出すには、竹の葉っぱを燃やします。緑には柔らかい木を画材にします。」
ドンホー版画は18のテーマを持つものであり、その中に、祀るためのの絵、歴史、人間の生活、昔話のテーマなどがあります。先ほどのサムさんは次のように語りました。
(テープ)
「ドンホー版画は国の風景、幸せな生活、豊作の様子などを描くものです。」
ドンホー村の絵は木版画で作られたものです。それぞれの木版画はそれそれの独自の美しさを持っています。現在、ドンホー村で、数百年前作られた数多くの木版画が保存されています。
グェン・ティ・オアンさんは次のように語りました。
(テープ)
「これらの木版画はいい木で作られたので、今でも保存しています。1945年前に、我が村の全ての人々は木版画を作りましたがそんな素晴らしい伝統専門職業は時とともに消えてしまう恐れもあります。我が家は60種類の古い絵を保存しています。」
ドンホー木版画はベトナム北部の特産と言われています。