新年の幸運を祈るため、市場に行くというのはベトナム北部ホン川デルタの特有の文化生活です。北部ナムディン省に旧暦の1月8日に年に一度だけ開かれるビェン市場は特別な市場です。
この市場は普通の市場とやや異なっています。それは、市場に行くのは心霊的な意味があるからです。ナムディン省ナムチュオック県ナムハイ村に住むグェン・トアン・ソン( Nguyen Tuan Son) さんは次のように語りました。
(テープ)
「 ビェン市場には集会所や寺院があります。市場に行く人々はだれもがお寺に線香を手向けます。ナムディン省のビェン市場は有名な市場です。毎年旧暦8月になると、この市場に行く人々は数万人にのぼっています。人々はこの市場に行き、品物を買うことで、家族が一年中幸せに暮らせると信じているからです。」
「市場」と呼ばれているもののこの市場で売られているものの殆どは地元の人々が自分で作ったものばかりです。先ほどのグェン・トアン・ソン( Nguyen Tuan Son) さんは次のように語りました。
(テープ)
「ナムディン省のビェン市場では骨董品から銅製品、農業用具など多くの品物が売られています。しかし、最も有名なのは観賞用植物です。ナムチュオック県の職人はいずれもここに観賞用植物を売っています。」
ナムディン省のビェン市場に行く人々は全国各地からやってきますが、最も多いのはナムディン省とホン川デルタ地域に住む人々です。この市場では、売り手が言う値段で、商品を売るので、値段交渉をしなくてもよいのです。この市場で行われる売買は心霊的意義があるからです。買い手は売られている品々の中から、何を買っても、その一年が幸運に恵まれることを信じているからです。ナムディン省ナムチュオック県ナムロイ村に住むチン・テイ・トゥ( Trinh Thi Thu) さんは次のように語りました。
(テープ)
「ナムディン省のビェン市場での売買は経営面ではなく、心霊的意義があります。そのため、市場の雰囲気は和気あいあいです。市場に行くのは幸せを祈るからです。市場に行く人々だれもが何かしらを買います。その他、市場に行く人々はお寺に線香を手向けます」
新年にビェン市場に行くのは昔から伝われてきたものです。毎年、多くの人々はこの市場に行っています。人々は新年に幸運に恵まれることを希望しています。