中部フーイエン省に住むチャム族やバナ族などと違って、エデ族は今も錦織の伝統色を維持、発展させています。長屋にはバスケットや鳥獣捕獲器具のほか、織機は欠かせないものです。エデ族の女性たちは畑仕事を終えてから、機織に始めます。現在、フーイエン省、ソンヒン県のエデ族の集落に足を運ぶなら錦織に夢中になっている女性たちの姿を目にするでしょう。
ミ・ブルさん
ミ・ブルさんは今年70歳ですが、50年あまりにわたり、機織に従事してきました。ミ・ブルさんは次のように話しました。
(テープ)
「この織機は織物を始めた時から今日までずっと使っています。18~20代に母や村のお年寄りに錦織を教わりました。当時、エデ族の女性で錦織ができないなら手先が不器用だと言われたものですよ。家族全員の衣服は女性の手で作られていました。」
エデ族の織機はほかの民族のものと違い、繋がっていません。エデ族の職人はタテ糸を張った時、頭の中で模様を考えておき、タテ糸とヨコ糸を組み合わせ、布を織ります。さきほどのミ・ブルさんはデザイン図なしで錦織ができるということはエデ族の職人の才能を示します。この仕事は手先の器用さとスムーズな足さばき、そして健康が求められる」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ)
「綺麗な錦を織るためには正しい座り方が求められます。職人は織機に平行して座らなければなりません。また、布が丈夫になるよう、足を強く動かし、布を手でしっかりと握る必要があります。」
錦にはエデ族の独特な模様が付いています。民族学博士トゥニュン・ムロ・ズオン・ズ女史は次のように語りました。 (テープ)
「エデ族の伝統的な模様は世界の自然を反映しています。例えば、草や花、動物が模様に定型化されました。現在、エデ族の多くの女性はお墓に彫刻された模様をスカートの模様に取り入れてきました。」
エデ族の錦の独特さは配色で示されています。色とりどりの糸を作るため、エデ族の人々は古来から伝わってきた経験によって、木の葉や皮、根を使って、糸を染めます。白と黒は錦の主要な背景色として選ばれます。さきほどの民族学博士トゥニュン・ムロ・ズオン・ズ女史は次のように明らかにしました。
(テープ)
「エデ族の衣服の基調色は主に黒と赤です。しかし、女性のスカートには黒、赤、黄色、青、緑の5色があります。」
スカートや布団などを織るのにはおよそ4ヶ月かかります。また、織物の幅や模様の複雑さなどにより、織る時間が長くなる場合もあります。織る前に、職人たちは頭の中でサイズや模様などを考えておきます。これにより、衣装には模様が見事にレイアウトされます。これはエデ族の女性の器用さを表すとみられます。