(VOVWORLD) - 山岳地帯に居住している少数民族ガイ族は山の厳しい気候への対応として土で固めた家を建てます。こうした家は独特な建築を誇りにしており、この民族ならではの文化です。
ガイ族の人口はわずか約1200人で、ベトナムの54民族の中で、最も人口が少ない民族です。ガイ族は、27の省と市に住んでいますが、北部タイグエン省に集中しています。山岳地帯に住むモン族やハニー族と同様、ガイ族の家は土で壁が固められた土壁の家です。土壁の家は、山の厳しい天候に耐えられ、夏は涼しく、冬は暖かいという効果があると言われています。
家の壁を固めるのはとても大変な作業で、村の若者数十人に頼まなければなりません。そのため、土壁の家を建てることは村の行事となっています。ガイ族の一人タム・ジック・トさんは次のように話しました。
(テープ)
「土壁の家は木の板を使って壁の型を作ります。一面の壁を固めれば、型を隣のところに移して固めます。土は、その立地の後ろから掘り上げられます。その型は、長さ35センチ、高さ35センチ~40センチほどです。土を型に入れて固めた後、型を外して、固められた壁の上に置いて、また固めます。壁が2.5メートルぐらいになると、出来上がります。」
こうした壁は歳月を経れば経るほどコンクリートのように硬くなり、数百年にもわたって厳しい気候に耐えられますが、屋根は藁葺なので、数年後、噴き直さなければなりません。先ほどのトさんは次のように話しました。
(テープ)
「経済的に余裕な人はシュロの葉で屋根を葺きますが、そうではない人は藁やサトウキビの葉で葺きます。シュロの葉は3、4年後噴き直さなければなりませんが、藁は1年だけで、サトウキビの葉は1年半ぐらいもちます。」
ガイ族の土壁の家は3部屋があることが一般的ですが、5つの部屋がある家もあります。前者の家は寝室が1つあるのに対し、後者の家は寝室が2つあります。残りの部屋は接待間と、先祖を祀るための部屋です。ガイ族の土壁の家の特徴は、大小を問わず、一つのドアしか持っていないということです。
しかし、現在、こうした伝統的な家は残り少なくなっています。北部タイグエン省ドンヒ県タムタイ村には土壁の家が1軒しか残っていません。そのため、この家の維持・保存は緊急課題となっています。現在、ハノイ郊外にあるテーマパーク「ベトナム各民族の文化観光村」は、ガイ族の伝統的な村の空間を再現するプロジェクトを展開しています。同プロジェクトの担当者ファム・タイン・ソンさんは次のように話しました。
(テープ)
「私たちは、現地調査を行ったうえで、ガイ族の伝統的な村の空間を再現しています。これは、ガイ族の土壁の家を始めとする伝統文化の保存・開発に役立つと期待しております。」
こうした取り組みにより、ガイ族の伝統的な土壁の家を消さずに、重要な文化財として保たつことができるでしょう。