クアンニン省のカオラン族の結婚

(VOVWORLD) - かつて、結婚式は2日間行われるのが一般的でした。結婚式の夜、男性と女性の家族は徹夜で、歌いながら、新夫婦の幸福を祈ります。また、花嫁の家にいる時、花婿は家を出ることも、トイレに行くことも許されないという習慣がありました。
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ベトナム東北部に居住している少数民族カオラン族は、サンチやサンチャイ族などとも呼ばれています。2019年の国勢調査によりますと、その人口は20万人以上で、大部分はトゥエンクアン省、タイグエン省、バクザン省、クアンニン省などに住んでいます。その中で、ハノイから東北へ約250キロ離れたところにあるクアンニン省バチェ県のカオラン族は今もなお、結婚に関する伝統・習慣を保っています。

カオラン族の結婚には顔合わせのお見合い、占い、婚礼用品の要求、結納、花嫁の迎えなど様々な儀式がありますが、最初の準備としては、媒酌人を選ぶことです。媒酌人は必ず男性で、結婚のすべてのことを担当する最高責任者となります。媒酌人は道徳の面で尊敬されることはもちろん、伝統文化にも詳しく、話し上手でなければなりません。そして、媒酌人は既婚者であり、子どもがいて、幸せな家族を持っているということが大切です。男性の家族の媒酌人は父方のおじさんで、女性の家族の媒酌人は母方のおじさんであるのが一般的です。

最初は男性の家族の媒酌人が女性の家族を訪れて結婚を申し込みます。女性の家族が同意すれば、両家は顔合わせのお見合いを行う日を決めます。バチェ県に住むルク・バン・ビンさんは次のように話しました。

(テープ)

「女性の家族が同意すれば、両家は次のステップに入ります。先ずは、顔合わせのお見合いです。この儀式を準備するため、男性の家族は72個のお餅と、去勢された雄鶏3羽を用意します。顔合わせのお見合いで、両家が結婚に同意すれば、結納の日を決めます。結納の儀式を準備するため、男性の家族は、24個のお餅、1リットルのお酒、去勢された雄鶏1羽を用意します。結納で、両家は結婚式の日や婚礼用品などを決めます。」

かつて、結婚式は2日間行われるのが一般的でした。結婚式の夜、男性と女性の家族は徹夜で、歌いながら、新夫婦の幸福を祈ります。また、花嫁の家にいる時、花婿は家を出ることも、トイレに行くことも許されないという習慣がありました。この習慣について先ほどのビンさんは次のように話しました。

(テープ)

「もし花婿が花嫁の家を出れば、良い人ではないと考えられます。花婿がこうしたことを我慢できることは自分の忍耐を示します。これは忠実さの現われであるとされるからです。」

現在、カオラン族の結婚式は1日に行われることが一般的ですが、2日間行う家族もあります。2日間行っても、この習慣を保つ家族はほとんどありません。

花嫁が実家を出る前に、花嫁の家族の媒酌人は、花嫁がよく寝ている部屋に入って「床別れの儀式」を行います。この儀式は、これからこのベッドは花嫁のものでなくなることを意味します。また、花嫁が花婿の家に入ってから、花婿の家族の媒酌人は、新夫婦を認める儀式を行います。その儀式後、2人は正式の夫婦になります。

結婚式からの3日後、新夫婦と花婿の家族は花嫁の実家に戻って花嫁の両親に感謝の言葉を述べます。花嫁の両親は宴会を行ない、親戚を招きます。宴会は両家の人たちが歌垣を楽しみ、両家のつながりを強くするチャンスでもあります。先ほどのビンさんは次のように話しました。

(テープ)    

「集落の若者も歌垣を楽しみます。また、新夫婦が花嫁の実家から花婿の家に戻った後、また、両家の歌垣を行います。これは両家の強いつながりを示すためです。この歌垣により、多くの若い男女が結婚相手を探しましたよ。」

現在、クアンニン省バチェ県のカオラン族の結婚は複雑な儀式はなくなりましたが、歌垣を通じて両家のつながりを強くするなどの良き伝統は今もなお、保たれています。

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