(VOVWORLD) -この2年、中部ダナン市ホアヴァン県ホアバク村では、少数民族コトゥ族出身のディン・ヴァン・ニュさんが営むコミュニティ・ベースド・ツーリズムは、村人の雇用創出だけでなく、コトゥ族の伝統文化の保存にも役立っていると評されています。
コミュニティ・ベースド・ツーリズムは共同体を構成する住民たちの手によって 実践される観光活動です。
7万人の人口を擁するコトゥ族は様々な行事や民謡など豊かな文化を誇りにしています。コトゥ族の伝統文化は歳月を経るにつれ、多少衰えつつも、この民族の人々の努力により、徐々に回復しています。その中で、ニュさんはコミュニティ・ベースド・ツーリズムの運営に成功した一例です。
2019年、ダナン市ホアヴァン県は、コミュニティ・ベースド・ツーリズムを発展させる方針を出し、少数民族コトゥ族の伝統文化を保存・開発するために、コトゥ族の居住地であるホアバク村で展開することにしました。こうした方針を受け、ニュさんは国から4億ベトナムドン(日本円で約200万円)の融資を受け、宿泊施設を建設しました。
総面積1000平方メートル以上の敷地に建設されたニュさんの宿泊施設は谷川をバックにして、広々とした畑に面しています。約30人を収容することができるこの宿泊施設はコトゥ族の伝統的な高床式の家なので、観光客はコトゥ族の日常生活を実感することができます。ニュさんの宿泊施設は観光客に食事と宿泊サービスを提供するとともに、村人の協力を受けてコトゥ族の伝統的な民謡や職業を紹介しています。
ニュさんの呼びかけに応じた45人の村人からなるコミュニティ・ベースド・ツーリズム運営グループが設立されました。この45人は、コトゥ族の民謡やドラ、食文化、手織物、編み物などに詳しい人たちです。グループの手織物職人ブイ・ティ・ルオイさんによりますと、かつて村人の生活は困難でしたが、コミュニティ・ベースド・ツーリズムの運営により、村人の生活をかなり改善してきました。手織りから作られた財布やシャツ、ハンドバッグなどが多くの観光客に買い求められ、村人の多くにとって主要な収入源となっています。これは伝統的な手織り物の保存にも大きく寄与しているとしています。ルオイさんの話です。
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「私たちの宿泊施設に泊まるお客さんが注文すれば、手織り物とその関連商品を作ります。日によって違いますが、20万ドンの収入を得る日もありますよ。また、コトゥ族の伝統的な踊りと民謡を楽しみたいお客さんが多いので、踊りと民謡を披露する人も手当をもらいます。これは、伝統的な文化の保存にも役立ちますね。」
ホアバク村に足を運んだ観光客は、コトゥ族の日常生活や、伝統芸能、伝統職業を体験するとともに、川で魚を釣ったり、船で漕いだりすることができます。これまで、ニュさんのホームステイは1000人以上の観光客を受け入れました。これにより、コミュニティ・ベースド・ツーリズムグループのメンバーらはかなりの収入を得ています。ニュさんの話です。
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「コミュニティ・ベースド・ツーリズムの効果としてはまず、収入が増えました。例えば、伝統芸能を披露すれば、一晩で10万ドンの手当てをもらえます。新型コロナの影響で観光客が減ったものの、観光からの収入は依然として私たちの生活を支えています。これから、コミュニティ・ベースド・ツーリズム発展計画は第2段階に入りますが、より多くの村人に安定した収入をもたらしたいと思います。」
ダナン市はこれからもコミュニティ・ベースド・ツーリズムの発展に力を入れる方針で、地元の人々に低金利の借金を提供するとともに、こうしたツーリズムに関する訓練コースを開く予定です。ダナン市観光局のタン・ヴァン・ヴォン副局長は次のように語りました。
(テープ)
「これから、観光局はホアヴァン県と協力して、コミュニティ・ベースド・ツーリズムのPRを強化するとともに、観光サービスに従事してゆきます。また、旅行会社と協力して、地元のホームステイをツアーの一部にしようとしています。コミュニティ・ベースド・ツーリズムは地元の人々に収入をもたらすだけでなく、地元の伝統文化の保存も促しているという効果があります。」
ダナン市に足を運ぶならば、是非ホアヴァン県ホアバク村にあるコトゥ族の村の宿泊施設に泊まってみてください。コトゥ族の日常生活や伝統文化を引き付けることでしょう。