お供え物を準備している村人

ダクラク省クムガル県エアホディン村コンホリンに暮らすソダン族は新米祭りを西暦の1月1日に催す習慣があります。元日の早朝から、村人は村の集会所に集まって神様に供養するお供え物を準備します。お供え物は新米のほか、地酒、豚肉、鶏肉、ネズミの肉などです。

調理を担当するホベウさんは次のように語りました。

（テープ）     

「今日は新米祭りで、調理グループは力を合わせてお供え物を準備しています。 これは竹の筒の中で炊いたご飯と、タケノコと豚肉の炒めものです。それはバナナの木ですが、小さく切ってからネズミの肉と一緒に混ぜて竹の筒の中に入れて焼きます」

お供え物の中で、ネズミの肉は欠かせないものです。ソダン族はネズミが農作物を荒らさないようにという考え方で、ネズミを食べますが、豊作への祈願として神様にネズミを捧げます。しかし、神様に捧げられるネズミは清潔でなければならないので、森の奥でつかまえられます。

ネズミをつかまえたア・クアンさんは次のように語りました。

（テープ）

「家からネズミが捕れる場所までは75、76キロメートルぐらいです。そのため、一回のネズミ狩りに半日ぐらいかかります。今回は50個の罠を持ってネズミ捕りに行きました」 

ソダン族の新米祭り

コンホリン集落の村長ビ・ボンさんによりますと、かつて、新米祭りは各家庭によって10月から12月の間行われましたが、1994年以降、村人全員が参加する村の祭りとして西暦の1月1日に行われるようになったとしています。

ビ・ボンさんの話です。 

（テープ）

「西暦の1月1日を祭りの開催日にすることは、1年の収穫が終わって新年に集まり、豊作を祝いながら、農作業に関する経験を共有するという意味があります。村が新米祭りを行うのは村の団結を強くするためです」

村長は祭り全体を司り、村を代表して神に感謝を捧げる儀式を進行します。新米祭りの初めての儀式は、神に感謝を奉納する儀式で、その中で、村長は、村の農作業を神に報告した後、供物を捧げて次の豊作を祈ります。

 神様への村長の報告をお聞きいただきましょう。

（テープ）

「次の田植えをするとき、稲は森の草、庭のサトウキビのように青々としてよく成長するようお祈りします。一年中、良い天候に恵まれ、皆が健康で、全ての家族が平穏な生活を送り、子どもが学習でよい成績を収めるようお祈りします」

儀式の後、村人は全員でお酒を飲みながら、天からの授かりものとされる農作物を味わいます。そして、ドラをはじめ、いろいろな楽器の音をバックに、歌ったり、踊ったりします。近年、ソダン族の新米祭りは観光客誘致のために開発が進んでいます。

ハノイから来た観光客の話です。

（テープ）

「コンホリン集落のソダン族の新米祭りは素晴らしい文化で、気に入っています。村人はとても親切で、温かいもてなしをしてくれました。村人と一緒にお酒を飲み、まるで家族団らんのような感じがしました」

ソダン族の新米祭りは、豊作と幸せな生活への祈願であり、ソダン族の人々の精神生活を物語ると言えるでしょう。