ザオカウ グループの「カマド」の役割

ザオカウ グループは主に北部山岳地帯ライチャウ省に集っています。他の少数民族と同じく、ザオカウ グループは家の中で火を使うカマドを大切にしています。カマドは煮炊きに使用されるだけではなく、信仰の分野でも重要な役割があります。今日、文化が発展し、生活スタイルは大きく変化したものの、カマドは伝統文化の一端を担っています。

ザオカウ グループの考えでは、住居は3つの部屋、2つの物置小屋、3つのカマドがなければならないとされています。ザオカウの人々の住居の3つのカマドは別々に設けられ、タブと厳しいがあります。最も大きなカマドは正門からみて左側に置かれ、ザオ族の言葉でトムド(Tom do)と呼ばれています。

ザオカウ グループの「カマド」の役割 - ảnh 1

一つ目のカマド トムド

このカマドは土で作り、入浴用のお湯を沸かしたり、お酒を温めたり、豚の餌をつくるところです。2つ目のカマドは家の奥の左側に設けられ、ドトン(Do tong)と呼ばれます。ここは毎日の料理を煮炊きする台所です。3つ目のカマドは右の物置小屋にあり、床を丸く切り抜いて、火を燃やしてをとったり、お湯を沸かしたりするためのもので、ドーラオ(Do lao)と呼ばれます。3つの中で、2つ目のカマドが最も大切にされていて、ここにはカマドの神が宿ると考えられ、「聖なるカマド」と見なされています。シンホ県、ファンソリン村に住むタン・コアイ・ロアンさんは次のように話しました。

(テープ)

「このカマドには神が宿っているので、炊事の後も、清潔にしておかなければなりません。また、このカマドで乳児の布オムツは()したり、女性がカマドの正面に座ることはダブーです。お年よりは子や孫にこうしたことを言い伝えなければなりません。」

2つ目のカマドを作るに際し、ザオカウの人々はいい日を選ばなければなりません。陰暦の9日、19日、29日はカマドを作るいい日と考えられています。カマドを作るため、良い土や型を作る為の4枚の木板を用意しなければなりません。

ザオカウ グループの「カマド」の役割 - ảnh 2
2つ目のカマド 「聖なるカマド」

カマドは長方形で、高さ50センチで、2つの鍋置きがあります。同じくシンホ県、タフイン村の住民チェオ・ナイ・メンさんの話をお聞きください。

(テープ)

「いい日を選んで、カマドを作りました。石が混ざっていない黄色の粘土でなければなりません。これだと、カマドが長持ちして、カマドの神は家族全員に健康と幸福をもたらすのです。」

ザオカウ グループの大きな行事は2つ目のカマドの部屋で行われます。タブを守らなければ悪いことに遭遇すると思われています。また、旧正月テトにはこのカマドの火をやしてはいけません。っている火や炭火が家族を見守り、恩恵を与える先祖の目の象徴だからです。その理由で、元旦にはザオ族の各家庭はいずれもこの部屋で線香をあげ、カマドの神に感謝する儀式を行うからです。シンホ県に住むザオ族文化研究者タン・キム・フさんは次のように話しています。

(テープ)

「シンホではこうしたカマドを作るのはザオカウのグループしかありません。このカマドは日常生活に便利であるだけでなく、信仰面でも重要な意味があります。これはザオカウ族ならではの文化です。今日、ガス台や電気コンロが普及していますが、ザオカウの人々は伝統的なカマドを愛用しています。」

現在も、ザオカウ グループは「住居は3つの部屋、2つの物置小屋、3つのカマドがなければならない」という考え方を(つらぬ)いています。これはザオカウ グループと他の民族との決定的な違いであり、ザオ族独特の文化を表しています。

 

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