(VOVWORLD) - ザオ族にとって、ラッパは昔から貴重な財産であり、精神生活に欠かせないものですが、これからも、その役目が維持され、大切にされることでしょう。
ベトナム北部山岳地帯に住む少数民族ザオ族の伝統的楽器と言えば、ラッパ、太鼓、ドラ、シンバルの4点セットです。その中でも特に、ラッパは中心的な楽器とされ、演奏が最も難しい楽器です。
(テープ)結婚式の現場の音
お聴きいただいた曲は結婚式でよく披露される伝統楽器セットの演奏です。この楽器セットは結婚式や成人式などに欠かせないもので、その一族はもちろん、村の宝物として大切にされています。
結婚式で演奏されているラッパ |
結婚式では、ラッパは結婚式の流れによって違うメロディーを披露しますが、これらのメロディーはそれぞれの流れと見合うと評されます。特に、花嫁が実家を出るときの両親の気持ちを物語ることができます。このメロディーは花嫁の両親の寂しさの他、両親が娘に結婚生活においてアドバイスを含めるかのようです。ライチャウ省シンホ県に住むベテランラッパ吹きのタン・ア・セインさんは次のように話しました。
(テープ)
「ラッパを上手に演奏するためには、かなり時間がかかりますよ。メロディーが多いですからね。また、上手に演奏するためには、指をラッパのマウスパイプにある穴にスムーズに押すことや、強い息で長く吹くことも重要です。そして、ラッパのメロディーが遠くまで響かせるためには、その音をより高く出すように工夫して吹かなければなりません。」
ザオ族のラッパは唇をふるわせて音を出す吹く楽器で、マウスピース、マウスパイプ、ベルという3カ所からなります。マウスピースは銅製の口金ですが、唇がタッチするところは、グアバに宿る虫の巣を付けます。木材でできたマウスパイプは長さが30センチくらいで、その上には、同じ間隔を置いてくり抜かれた穴が7つあります。ベルは銅製の円すい形のものですが、「オスのラッパ」のベルは「メスのラッパ」のベルより小さいです。ザオ族の人々は、ラッパの音を聞くだけで、「オスのラッパ」か「メスのラッパ」を区別することができます。
ラッパの質を決めるのは銅製の口金ですが、中でも、唇がタッチするところに付けられる虫の巣です。虫の巣によって、ラッパの音が異なります。ライチャウ省シンホ県に住むザオ族の一人チェオ・ア・シさんは次のように話しました。
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「ラッパを作るにはかなり時間がかかります。マウスパイプは硬い木材で作られます。最も重要な部分は、唇がタッチするところです。この部分にはグアバに宿る虫の巣が付けられますが、よい巣を手に入れるのは簡単ではありません。そして、ラッパのベルは銅製のものですが、よい銅を使わなければ、よい音を出すことができません。」
ラッパ吹きはラッパの吹き方だけでなく、メロディーの内容や意味、そしてメロディーをどんな背景の中で吹いた方がいいのかということも覚えなければなりません。こうしたラッパの吹き方を覚える人は減少しつつありますので、子どもに教えることが差し迫った課題となっています。ライチャウ省シンホ県に住む若者チェオ・ア・ソアンさんは次のように話しました。
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「子どもの頃、ラッパに興味を持ち始めました。そのため、村で結婚式があれば、ラッパ吹きに吹き方を教えてもらうようお願いしました。ラッパを吹くときの一番難しいことは途中で休むことなく、一気に一息で吹くことです。現在、ラッパを吹くことができる人は少ないので、我が民族のこの文化を守るために、上手に吹けるようにしています。」
ザオ族にとって、ラッパは昔から貴重な財産であり、精神生活に欠かせないものですが、これからも、その役目が維持され、大切にされることでしょう。