タイ族の「サンカン儀式」とは

(VOVWORLD) - ベトナムで人口が3番目に多い少数民族タイ族は全国各地に暮らしていますが、西北部の省と北中部のゲアン省、タインホア省に集中しています。その中で、ゲアン省とタインホア省に暮らすタイ族の伝統的な儀式「サンカン(Xang Khan)」は2017年9月に国の無形文化遺産として認められました。
タイ族の「サンカン儀式」とは - ảnh 1祈祷師(赤い服)の主宰による「サンカン儀式」

「サンカン儀式」は、神様とコミュニケーションができるとされる祈祷師が自らの先祖と恩師に感謝の気持ちを表すために行う「先祖を祀る儀式」から生まれたものです。タイ族の祈祷師は村の信仰に関する儀式や行事などを主宰する人であり、漢方治療ができるため村の漢方医でもあります。祈祷師の治療を受けて病気が治った人はその祈祷師を養父母と見なし、養父母に感謝の気持ちを表すために、「サンカン儀式」に参加します。その意味で、この儀式はタイ族の感謝祭であると言えます。ゲアン省クイチヤウ県チヤウホアン村に暮らす祈祷師ル・ヴァン・スアンさんは次のように語りました。

(テープ) 

「祈祷師の治療を受けて元気になった人は必ず「サンカン儀式」に参加します。タイ族の考えでは、祈祷師は村人を代表して、神様に村人の健康のほか、豊作や家畜の成長と繁殖をお祈りしてくれる人であり、村人の生活に欠かせない大事な存在です。そのため、祈祷師の治療を受けて元気になった人は祈祷師の養子になることを誇りにしています」

タイ族の「サンカン儀式」とは - ảnh 2「サンタン(Xang Tang)」という木の周りに踊っているタイ族の人々

サンカン儀式の開催日は祈祷師によって決められます。儀式で祈祷師を手伝うのに少なくとも一人の弟子が必要ですが、5人の弟子がいれば、十分であると考えられます。サンカン儀式の準備には、お酒、鶏、豚などのお供え物が用意されるほか、天と地のマッチングを象徴する「サンタン(Xang Tang)」という木が建てられます。儀式の中心的存在とされるこの木は竹からでき、長さが約4メートルあります。木には、タピオカや竹でできた様々な色に染められた動物や鳥の模型が掛けられ、一番上には錦織の帽子のようなのものが置かれます。この帽子は人間に対する神様の保護を象徴します。ゲアン省クインニャイ県の文化センターのグエン・アイン・トゥアン所長は次のように語りました。

(テープ) 

「サンカン儀式は多くの準備を必要とし、いくつかの部に分かれます。お供え物は、豚の頭や、おこわ、魚、線香、花、お酒などです。先祖と恩師に感謝するための儀式であれば、祈祷師がお供え物を用意しますが、祈祷師に感謝するための儀式であれば、お供え物の用意は養子を始め、村人が担当します」

サンカン儀式は、神様を儀式に招待する部や、サンタンという木の美しさを讃える部、山と森の神様を祀る部、平穏無事を祈る部などを含めます。それぞれの部で祈祷師は決まった叙事詩や昔話、民話などを語り、タイ族のルーツや歴史、英雄、習慣などを物語ります。その後養子たちを始めとし、村人は「サンタン」という木の周りで踊りながら、村に良いことが訪れるようお祈りをします。

こうしたサンカン儀式は、消滅の恐れがありましたが、2017年に国の無形文化遺産として認定されて以来、いろいろな保存・開発活動が展開されており、永遠に保たれることでしょう。

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