(VOVWORLD) - この祭りは、タイ族の人々の生活の守り神や先祖はもちろん、人間を大いに助けてくれる水牛に感謝の気持ちを示すので、タイ族の「感謝祭」と言えます。
ベトナム北西部山岳地帯に居住している少数民族タイ族は1年で多くの祭りを催していますが、その中で、「シップシ(Xip xi)」という祭りは最も重要な祭りの一つです。この祭りは、タイ族の人々の生活の守り神や先祖はもちろん、人間を大いに助けてくれる水牛に感謝の気持ちを示すので、タイ族の「感謝祭」と言えます。
シップシ祭りの準備 |
シップシ祭りは旧暦の7月15日に行われます。この時期は農閑期なので、村人が全員で祭りを楽しむことができ、村は祭りの雰囲気に包まれます。シップシ祭りでは、村の平穏な生活を守ったり、人間に健康や豊作を与えたりしてくれた神様と先祖にお供えをする儀式は祭りの最も重要なものですが、人間の畑仕事を助けてくれる水牛の魂を祀る儀式は祭りに欠かせないものです。また、農具をきれいに洗ったり、修理したりするなど農具にも感謝の気持ちを示します。ライチヤウ市ドンフォン村に住むタイ族の一人ロ・ティ・ファイ(85歳)は次のように話しました。
(テープ)
「かつてから、タイ族の人々はシップシ祭りで神様と先祖の他、水牛、畑を祀る儀式も行います。朝、豚を屠殺して水牛の魂を祀る儀式を行いますが、午後、畑へ行って畑を祀る儀式をやります。お供え物はアヒル、おこわ、お酒の他、魚やカニ、昆虫の形をする紙です。畑を祀る儀式は、その畑に水を提供する掘割のそばで行われ、水が十分に提供され、虫が作物に害を与えないようにという意味です。」
シップシ祭りのお供え物 |
タイ族の最も行事の一つであるシップシ祭りは、「感謝祭」であり、家族団らんのチャンスでもあります。この祭りが近づくと、タイ族の人々はだれもが、どんなに遠いところで働いていても帰省して祭りを楽しみたいという気持ちがあります。ライチヤウ省タムドゥオン県ビンルオン村に住むチュ・ヴァン・ハインさんは次のように話しました。
(テープ)
「タイ族は旧正月のほか、旧暦3月3日に行われる先祖を盛大に祀る行事、旧暦5月5日の端午節、そして、旧暦7月15日のシップシ祭りという大きな行事を大切にしています。これらの行事で、先祖に祀る儀式を行ったり、親戚を誘ってパーティーをしたりします。」
シップシ祭りで欠かせないお供え物はアヒルです。タイ族の考えでは、アヒルは不運をもたらすものであるとされています。そのため、祭りには、不運から離れるという意味で、アヒルを放つ儀式があります。その後、そのアヒルをお供え物にして祭壇に置く習慣です。そして、豊作を祈るために、もち米の粉から作られて緑豆を餡にするお餅も欠かせないお供え物です。
こうしたシップシ祭りは、自然や生活に関するタイ族の考えを示し、今もなお、大切にされています。