ベトナム中部高原地帯テイグエン地方のダクラク省の人口は約210万人で、その４割近くが少数民族です。少数民族の中でエデ族の人口は34万人以上と、最多です。ダクラク省はエデ族を始め、少数民族の人々に国の政策・法律の順守や社会経済開発への貢献、伝統文化の維持と開発を働きかけるために、少数民族のコミュニティの有力者・人格者を活用しています。

有力者・人格者を表彰

これまでダクラク省人民委員会によって認定された少数民族の有力者・人格者は約942人で、その多くはエデ族出身です。彼らは地元の行政府と協力して、住民に対し、「新農村建設」や「文明都市の建設」、「ホーチミン主席の思想・道徳・ライフスタイルを見習おう」、「貧困者のための全国民の団結」などの運動への積極的な参加を働きかけています。

ダクラク省クムガル県エアタル村ムラン集落では、イ・フアト・ニエさんはエデ族の有力者・人格者として集落の家を回って国と地方行政府が提唱している運動や政策などを村人に説明しています。例えば、「新農村建設」という運動を展開するため、彼は村人に対し、家畜と家禽を放し飼いにする習慣や、高床式の家の床の下に家畜と家禽の小屋を置く習慣などをやめるよう説得してきました。イ・フアト・ニエさんの話です。

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「集落の有力者・人格者として常に村人と一緒に歩んでいます。集落の治安維持や、相互支援、仕事に一生懸命励むよう村人に説得しました。また、新しい情報や体験は、全てを村人に教え、住民の生活の向上を図っています」

エデ族の有力者・人格者は誰もが自らの役割を認識し、村人の模範になるように取り組んでいます。クムガル県クスエ村に暮らすホ・ゴック・エバンさんは、村の党委員会副委員長でしたが、定年退職後に、村人の信頼を受けて村の有力者・人格者に選ばれました。ホ・ゴック・エバンさんは次のように語りました。

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「私は村人に対し、悪人の言葉を聴かず、労働と学習に一生懸命励むよう勧めています。そうすることで、よりよい生活を送れるはずです。私たちは子どもに財産を残すというより、社会に貢献できる模範になるように取り組むべきだと思います」

一方、クムガル県エアトゥル村では、イ・ドヘ・アユンさんはエデ族の伝統文化の保存と開発に大きく貢献している有力者・人格者として知られています。彼の努力により、伝統的な高床式の家14軒と、数百年前に作られたドラセット4個が大切に保たれています。イ・ドヘ・アユンさんの話です。

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「エアトゥル村はエデ族の多くの伝統文化を維持しています。私は全力を尽くし、伝統文化の保存に対する村人の認識向上に努めています。国から財政的支援も受けているので、伝統文化の保存事業はうまく行っています。伝統文化が消えることは非常に遺憾です」

有力者・人格者の役割を果たすため、ダクラク省は有力者・人格者を対象としたセミナーや勉強会を頻繁に行い、国の法律・政策のほか、農業の新しい開発モデルや伝統文化の保存を目指す効果的なやり方などに関する情報を提供しています。また、ほかの地方の知見を共有するため、有力者・人格者による訪問団の往来を行っています。ダクラク省民族委員会のホ・ヤオ・クヌル委員長は次のように語りました。

（テープ）

「ダクラク省を始め、少数民族が暮らす各地では、少数民族の居住地の発展に有力者・人格者の大きな貢献があります。行政府と住民との懸け橋である有力者・人格者は自らの役割を十分に果たしていると思います」

ダクラク省はこれからも、コミュニティの有力者・人格者を活用するというモデルの成果を活かし、地元の社会経済開発と住民の生活改善を進める方針です。