チャビン省 クメール族の僧侶育成に関心

(VOVWORLD) - 南部メコンデルタのチャビン省の人口は100万人を超え、その3割が少数民族クメール族です。クメール族の人々のほとんどは上座部仏教を信仰しているため、チャビン省はクメール族の伝統文化の保存・開発対策の一つとして、上座部仏教の人材育成に注目しています。
チャビン省 クメール族の僧侶育成に関心 - ảnh 1「パーリ・クメール高校」

現在、チャビン省には上座部仏教の寺が143か所あり、全ての寺でクメール語を教えていますが、クメール語教室のほか、上座部仏教を教えている寺が数か所あります。上座部仏教の人材育成を進めるために、2014年、チャビン省は、クメール族の子どもを対象に、一般教育カリキュラムのほか上座部仏教を教える「パーリ・クメール高校」を設立しました。本校は南部メコンデルタにおける一般教育カリキュラムと上座部仏教を教える初の高校となり、クメール族の教育の質を向上させることが狙いです。

「パーリ・クメール高校」はチャビン省の省都チャビン市にあるオンメット寺の境内に建てられています。面積3000平方メートルの敷地のこの高校は150人の生徒が収容できる寄宿学校で、2022・2023学年度の生徒数は105人です。「パーリ・クメール高校」のラム・ソ・ロネ副校長は次のように語りました。

(テープ)

「パーリ・クメール高校の設立はチャビン省の上座部仏教の聖職者の最大の願望でした。国の支援によって建設された当校はインフラが整備されており、生徒たちはほかの施設よりよい条件で学んでいます。また、カリキュラムの作成も、教育訓練省とチャビン省の両機関の支援によるものです。設立からの卒業生は176人で、その内の75人は大学に進出し、29人は各寺で仏教を教えています」

チャビン省 クメール族の僧侶育成に関心 - ảnh 2「パーリ・クメール高校」の教室

パーリ・クメール高校は一般的な高校と同様、数学や物理学、化学、文学、歴史学、地理学、英語などの教科のほか、上座部仏教の経典などに使用されるパーリ語や、仏教の基本、クメール語文学を教えています。同校の教師グエン・タイン・チさんは次のように語りました。

(テープ)

「チャビン省のパーリ・クメール高校は中学校を卒業したクメール族出身の生徒を対象としていますが、入学試験ではクメール語の試験も受けなければなりません。生徒は一般教育のほか、パーリ語とクメール語、そして仏教の基本に関する知識を身につけます。また、パーリ語からクメール語に翻訳する授業もあります」

パーリ・クメール高校の生徒たちは、教材の無料提供や奨学金の供与など国から優遇されています。そのため、この高校は、貧しい家庭出身で僧侶を目指す子どもたちにとって第一志望校となっています。また、生徒の中には、大学や短期大学への進学を希望する僧侶もいます。パーリ・クメール高校を卒業した僧侶キム・ファット・カ・ディさんは次のように語りました。

(テープ)

「パーリ・クメール高校は僧侶が知識を身につけて進学するための環境を提供しています。本校を卒業すれば、大学か短期大学に進学できるからです」

チャビン省の143か所の寺には、約3600人の僧侶がいますが、上座部仏教の人材育成を促進する方針により、同省の上座部仏教が益々発展し、上座部仏教と密接につながるクメール族の伝統文化の保存と開発に貢献することが期待されています。

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