チャム族のラマダン月

(VOVWORLD) - ベトナムの少数民族チャム族の人口はおよそ17万人で、中南部と南部に居住しています。その中で、南部に住むチャム族の人々の多くはイスラム教を信じています。そのため、ラマダンは南部に住むチャム族の人々にとって最も重要な行事の一つです。
チャム族のラマダン月 - ảnh 1 ラマダン月で礼拝しているチャム族の人々

イスラム教徒にとって、5月中旬から6月中旬まで行われるラマダンは「聖なる月」となっています。世界各国のイスラム教徒と同様、イスラムを信じるチャム族の15歳以上の成人男女は、この月において、日の出前から日没にかけて、一切の飲食を断つことにより、空腹や自己犠牲を経験し、飢えてる人や平等への共感を育むことを重視するそうです。また共に苦しい体験を分かち合うことで、ムスリム同士の連帯感が強まり、多くの寄付や施しが行われます。また、断食中は、飲食を断つだけでなく、喧嘩や悪口や闘争など忌避されるべきことや、喫煙や性交渉などの欲も断つことにより、自身を清めてイスラム教の信仰心を強めるということです。

ベトナム南部アンザン省タムチャイ町チヤウフォン村に住むチャム族の一人モハマドさんは次のように話しました。

(テープ)

「ラマダン月には、皆昼間は絶対に食べ物を口に入れることなく、夜だけで食べます。これを30日間連続で実施します。30日目は、モスクでの儀式が終わったら、祖父母や両親、そして、親友と近所の人々にお祝いの言葉を述べます。」

ラマダンの1か月前から、村人は集まって準備作業について話し合います。その中で、食べ物の用意は最も重要な準備です。昼間は全く飲食をしないので、晩ご飯は欠かせないものなのです。チヤウフォン村に住むチャム族の一人チェレさんは次のように話しました。

(テープ)

「晩御飯の主な料理はカレーと、「カプア(Ca pua)」という牛肉の煮込みです。ラマダンはチャム族にとって特別なお正月で、この1か月、モスクへ礼拝に行ったり、親戚を訪れたりします。」

ラマダンは、イスラム教を信じるチャム族の行事ですが、アンザン省の独特な文化を支えるものとなっています。そのため、地方行政府は、チャム族の人々の生活を改善し、チャム族の人々がラマダンを楽しめるように支援しています。チヤウフォン村の文化担当者フイン・タイン・ズイさんは次のように話しました。

(テープ)

「ラマダンはチャム族の人々にとって特別なお正月です。地方行政府は、チャム族の文化と精神生活に特別な関心を寄せいています。ラマダンには、地方行政府の代表団がお祝いに行ったり、村の飾りつけを支援したりしています。」

ラマダン月が終わってからの3日間は、イスラム教を信じているチャム族の人々にとって家族団らんの期間です。遠いところでも働いている人は家に戻って家族団らんを楽しみます。また、知り合いもそうではない人も家を寄せると、その家族の大切なお客さんとなってごちそうをもらいます。そのため、ラマダン月は「ロヤ(Roya)」というお正月とも呼ばれており、チャム族の人々の生活において重要な位置を占めています。

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