(VOVWORLD) - ベトナム中南部に居住している少数民族チャム族はかつて、結婚式や葬式などの冠婚葬祭を数日にわたって大規模で行う習慣がありましたが、近年、簡略化する傾向があります。
チャム族の葬式 |
少数民族チャム族の冠婚葬祭はこの民族の豊かな文化を表わしていますが、時間的にも金銭的にもかなりかかるので、村人にとって大きな負担でした。近年、村人の負担を軽減するため、伝統的な文化を維持しながら、冠婚葬祭を簡略することを村の掟に記す所が多くなっています。例えば、バラモン教を信じる村では、かつて葬式は10日間ぐらい行われることが一般的でしたが、現在は3日ほどになっています。
一方、バニというチャム族ならではの宗教を信じる村では、葬式も結婚式も多くの儀式が省略されました。ビントゥアン省バクビン県ファンタイン村に住むチャム族の一人フイン・タインさんは次のように話しました。
(テープ)
「バニ教を信じるチャム族の人々の葬式では、かつてはお金がたくさんかかった大規模な宴会が行われましたが、現在は規模が小さくなって、かなり節約されています。また、結婚式では、多くの儀式が省略されました。」
また、葬式では、互いに助け合った後、家主の負担を軽減するために、宴会をしないということを掟に記した村も増えています。そして、聖職者らも、儀式を行う時、村人に求める贈答品を減らしています。ビントゥアン省バクビン県ファンホア村のバラモン教の聖職者バ・サインさんは次のように話しました。
(テープ)
「宗教組織は、葬式などで節約するよう村人を訴えています。例えば、既に水牛を用意した場合、大きな魚を買わず、小さい魚しか買わないということです。また、お酒とビールは少しだけ用意した方がいいということです。これは、村人が酔っ払ってケンカになることを防ぐという効果もあります。」
こうしてチャム族の人々の認識が変わったことは宗教組織が大きな役目を果たしたと言えます。特に、2012年に設立されたビントゥアン省バラモン教聖職者評議会はバラモン教の行事や儀式などに関するガイダンスを出し、その中で、必要ではないものの多くを省略しました。同評議会のトゥオン・スアン・フ議長は次のように語りました。
(テープ)
「かつての葬式は8日から10日かかりましたが、現在は3、4日に短縮されました。また、チャム族の結婚はかつては、お見合いや結納式、結婚式など多くの式を含みますが、現在は、両家が一度会って結婚式の日を決めるようになりました。これは、両家の負担を大きく減らしたことになります。」
こうした取り組みにより、チャム族の人々は伝統文化を保存しながら、文明的な生活様式を導入してゆくことでしょう。