民族衣装を着ているパジグループの女性たち

民族衣装を着るパジグループの女性を見ると、最も印象深いのは頭巾でしょう。パジグループの伝説によりますと、昔、コミュニティのつながりを大切にするパジグループの人々は全員、一軒の大きな家に一緒に住んでいましたが、人口が増えるにつれて、別々に住まざるを得なくなりました。原点に対する意識を芽生えさせるために、昔の大きな家の屋根を形にした頭巾を作り出したということです。ムオンクオン県トゥンチュンフォ村に暮らすポ・シン・フックさんは次のように語りました。

（テープ）

「頭巾は自分の温かい家のシンボルです。これはパジグループならではのものであり、私たちの民族衣装の独特な美しさを代弁するものでもあります」

パジグループの女性の頭巾は亜麻布から作られます。女性たちは布に蜜ろうを何回も塗って、布が硬くなってから布を折って屋根の形を作ります。頭巾には銀の球がたくさんつけられます。銀の球はトウモロコシやコメの粒を象徴し、豊かさを意味します。

パジグループの女性の民族衣装は頭巾のほか、ドレス、ズボン、およびベルトがワンセットになります。ドレスは足首の上までで、襟が丸く、ズボンはウェスト部分も裾幅も大きいです。ベルトは幅が20センチほどの布ですが、色は青と緑が一般的です。パジグループの女性の民族衣装がテイ族の他のグループと違うのは、屋根の形の頭巾のほか、銀の球がたくさんついたドレスです。

これに対し、テイ族の他（た）のグループのドレスは模様なども華美ではないし、色も藍色だけです。パジグループのドレスの生地の色も藍色ですが、袖の腕の部分の色は白と青色をしています。そして、左の襟から右の腰までは、銀の球が正弦曲線のようにたくさんつけられた細長い白の布です。そのため、パジグループの民族衣装はテイ族の各グループの中で最も目立つとされています。パジグループの民族衣装に詳しいポ・ジン・チンさんは次のように語りました。

（テープ）

「色とりどりの衣服の方がきれいです。藍色をベースにしていますが、青、緑、白などもあります。これらの色がなければ、パジグループの民族衣装とはいえません」

こうした民族衣装は花嫁の父が花嫁に贈与する財産などパジグループの人々にとって貴重な財産です。また、お正月や行事などに欠かせない存在です。ムオンクオン県トゥンチュンフォ村に暮らす先ほどのフックさんは次のように語りました。

（テープ）

「美しい民族衣装が着られてうれしく思います。この衣服はパジグループの女性たちが大変苦労して作ったものです。こんなきれいな衣服を作るにはかなりの時間がかかりますよ」

パジグループの女性の民族衣装に施された芸術は2020年に、文化スポーツ観光省によって国の無形文化遺産として認定されました。