(VOVWORLD) - ベトナム東北部クアンニン省ビンリエウ県は少数民族テイ族が多数住んでいる地方です。そして、テイ族ならではの豊かな文化を誇っています。その中で、お正月の風俗習慣は今もなお、大切に保たれています。
ビンリエウ県に住むテイ族は旧正月テトを楽しみます。テトの準備は旧暦の12月25日か26日から始まります。まず、家族全員が集まってテイ族のバインチュンを作ります。バインチュンは日本のチマキを大きくしたようなものでもち米でできています。豚肉を挟んだ普通のバインチュンの他、卵を餡にする「父のチマキ」と、魚を餡にする「母のチマキ」もあります。これらのチマキはテトの祭壇に欠かせないお供え物です。
年末の食事は最も重要な家族団らんです。 |
テイ族の人々は大晦日に早起きをして、その年に別れを告げ新年を迎えるために祭壇の準備をします。また、家族全員が大掃除をし、その中で、農具に赤い紙に貼る習慣があります。テイ族の人々の考えでは、農作業に使うスキやクワ、シャベルなどは一年間がんばってくれたので、正月には休ませます。これは、一緒に働いてくれた道具を大切にするという考えから生じた習慣です。
そして、悪魔を祓って家族に幸運や健康が訪れるためのものとして1本の竹が玄関先に植えられる習慣もあります。クアンニン省ビンリエウ県チャンナ村に住むテイ族の一人ラ・ティ・ホンさんは次のように話しました。
(テープ)
「大晦日に最もおいしい豚肉や鶏、お酒を用意して祭壇に置きます。祭壇の前で先祖をテトを一緒に楽しむよう招いた後、家族全員が年末の食事を楽します。とても楽しいですよ。」
大晦日の午後に行われる年末の食事は最も重要な家族団らんで、誰もが待ち望みます。食事をするとき、皆は食べながら、その年にできたこととできなかったことを振り返るとともに、新年の希望や計画などを語ります。
元旦に谷川へ水を汲みに行く村人 |
また、元旦に、家族全員が早く起きて、谷川へ水を汲みに行きます。これは、テイ族のお正月の最も重要な習慣です。世帯主とされるお父さんは、水の神様に花や線香、おこわを捧げながら、新年に豊かさなどが訪れるよう祈ります。一方、子どもたちは、谷川の小石に紐を縛って持ち帰り、牛小屋の中に投げます。牛に例えられるこれらの小石を牛小屋の中に投げ入れることは新年に豊かさが訪れるという祈願の現われです。クアンニン省ビンリエウ県チャンナ村に住むテイ族の一人レ・ティエム・フさんは次のように話しました
(テープ)
「汲んできた水は顔洗いに使われます。これは新年に健康に過ごすことを祈るためです。一方、子どもが持ってきた「牛は」は家族の財産の増加を意味します。」
テイ族の人々は元日にタブーがたくさんあります。これらは元日の正午前はお肉や魚を食べないことや、他の人の家に行かないこと、動物を殺さないこと、泣かないこと、上から水を注がないことなどです。
お正月の2日は母方の日とされます。この日に、既婚女性は実家に戻ってテトのお祝いをします。先ほどのフさんの義理の娘ラ・ティ・ラインさんは次のように話しました。
(テープ)
「2日は去勢した雄鶏やバインチュン、果物、お菓子などを用意して実家に戻ります。テトは親の恩に報いるとともに、兄弟同士の愛情を深めるチャンスだと思います。みな、新年には家族と会えるのでうれしいですよ。」
チャンスがあれば、是非、旧正月テトにテイ族の村を訪れてテトの雰囲気を味わってみてください。