北部山岳地帯ランソン省では毎年、テイ族のおよそ200のロントン(Long Tong)祭り、という、豊作を祈る祭りが行なわれます。祭りは旧暦1月4日から30日にかけて、テイ族の各村で行なわれ、順調な耕作を切り開くことが狙いです。
ロントン祭り(豊作を祈る祭り)はランソン省に住むテイ族の最も待ち焦がれる年中行事です。一度でもこの祭りに参加するとその雰囲気を永遠に忘れられないでしょう。村人は皆、美しい服を着て、村内の広い場所に集まり、遊びます。イエンラン県、タインホア村人民委員会のホアン・ミ・ラン委員長は次のように語りました。
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「ランソン省のテイ族の考えでは、ロントン祭りは農耕の守護神といわれる農業の神に一年の成果を報告し、順調な天候や耕作、生物の生長、村人の健康などを祈願するためのものです。また、祭りを行なう中で、住民同士の団結心が表れます。」
そして祭りには住民全員が参加し、土地の神と山の神、農業の神、村の守護神に多くの料理をお供えしますが、その中に、おこわやゆでた鶏肉、子豚の丸焼き、地酒、数種類のお菓子、ポップコーン、もち米で作ったバインチュンなどがあります。それぞれの供え物は住民のまじめな労働、生産の成果であり、天と地の調和を表すとともに神の加護に対する感謝の気持ちを示します。先ほどのタインホア村人民委員会のホアン・ミ・ラン委員長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「祭りでは、新年早々に行なわれる畑仕事を象徴として、土が耕されます。耕す人に選ばれるのは耕作に明るい人でなければなりません。つまり、同じ耕作面積で他人より、高い生産性を上げた人です。こうした人は村人を代表して、土を耕します。」
土を耕す儀式
土を耕す儀式後、民間遊戯のコン(Con)というボール投げが行なわれました。若い男女が集まって、愛を表す色とりどりのボールを投げあいます。ですから、ロントン祭りは若い男女のデートの機会でもあります。タインホア村の住民ルオン・クォク・チンさんの話をお聴きください。
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「少数民族の青年たちは互いに会いたいから、祭りを待ち焦がれています。私たちは伝統の民族衣装を着用し、歌ったり、話し合ったりして、楽しいですよ。」
祭りでは闘鶏やブランコ、綱引きなど、様々な遊びがあり、獅子舞も披露されます。先ほどのタインホア村人民委員会のホアン・ミ・ラン委員長は次のように明らかにしました。
(テープ)
「ロントン祭りでは獅子舞の公演は欠かせません。獅子は超能力の勢力を象徴する動物であると思われています。獅子舞は裕福で、健康、幸運を祈願し、悪事を追い払うため行なわれるのです。」
春に、ランソン省を訪れると、旅行者は山林の美しい風景を観賞できるだけでなく、霧に包まれたティ族の集落の観光ツアー、また、ロントン祭りに参加することもでき、面白い体験をすることでしょう。