(VOVWORLD) - 錦織は少数民族テイ族が誇っている伝統的手工芸品の一つです。テイ族の居住地の中で、伝統的な錦織をそのまま保っている村は、北部カオバン省ハクアン県ルオンノイ村です。
ハノイから北へ約300キロ離れたところにあるルオンノイ村に足を運ぶと、山の麓に点在する伝統的な高床式の家で女性たちが機織り機の前で夢中になって錦織を織っている昔と変わらない風景に引き付けられることでしょう。今もなお、この村には、30もの機織り機があり、女性たちは毎日のように機織り機で美しい錦織を作っています。
テイ族の錦織 |
500年の歴史を持つルオンノイ村の錦織は、乳白色をベースにした明るい色と暗い色を巧みに施す模様が特徴です。テイ族の文化研究者ホアン・ティ・ニュアンさんは次のように話しました。
(テープ)
「テイ族の錦織は、模様の色の調和が最も重要です。その中で、最も重要な模様は、花びらが8枚ある花です。これは、世界は四方八方あるという宇宙空間に対するテイ族の考えです。そして、模様は、凹む模様もあれば、つばくむ模様もあります。凹む模様は明るい色で施されるのが一般的ですが、つばくむ模様がないと、浮彫になりえない。つばくむ模様は土を象徴します。土は下にあるので、土の上にあるものは色が明るい。それは宇宙に対するテイ族の考え方なんです。」
テイ族の錦織は20以上の模様が施されます。桃や梅、スモモの花の他、「ボークチャム」や「ボーキップ」など北部山岳地帯ならではの花がよく施されます。また、鹿、馬、鳥、蝶々も代表的な模様です。錦織の模様は、決まった形やサイズがなく、職人の創造によって施されます。そのため、テイ族の錦織は、それぞれの職人によって模様が違ってその職人の個性を示しているという特徴があります。ルオンノイ村の職人ノン・ティ・トゥオクさんは次のように話しました。
(テープ)
「かつて、衣服を作るため、綿を植えて布を織りましたが、その後、布団やカーペットを作るため、模様を施して錦織を作るようになりました。かつては模様がちょっと違いますが、現在はお客さんのニーズに応えて、新しい模様を加えています。美しい模様を施すためには、いろいろな創意工夫が必要です。畑仕事をするときも、どのような模様を施すのか、そして、その模様を作るためにどのようにしたらいいのかきちんと考えなけれならないですよ。」
こうした錦織は、テイ族の生活に欠かせないものであるだけでなく、この地を訪れる観光客にとってどうしても買いたいお土産となっています。その意味で、錦織は、テイ族の伝統文化の保存、及び、地元の人々の生活改善に寄与していると言えるでしょう。