(VOVWORLD) - ベトナム北部山岳地帯イエンバイ省ルクイエン県に住む少数民族テイ族は、豊かな飲食文化で知られておりますが、その中で、「ボン(Bong)」という魚から作られる料理はテイ族の名物となっています。
「ボン」という魚 |
「ボン」はコイ科に属する魚ですが、中国の東南部、ベトナム北部、ラオスなどに生息しています。この魚は、角度によっては うろこが青く見え、ヒレと尾と口は薄いピンクです。
イエンバイ省ルクイエン県では、「ボン」という魚を養殖する農家が多いです。この魚は何でも食べますが、その割には成長が遅いです。稚魚から2年経っても2本指程度しか成長しません。30年も生きる寿命の長い魚もありますが、大きさは20キロ以上にはなりません。そのため、テイ族の人々は結婚式やお正月など重要な行事の時だけ、この魚を使って料理をします。
ルクイエン県ラムトゥオン村に住むホアン・タ・ゴさんは次のように話しました。
(テープ)
「かつて、「ボン」は村人にとって貴重な魚でした。大切なお客さんが遊びに来た時や、病人がいるとき、赤子を生んだばかりの女性がいる家だけが、この魚を使って料理を作るという習慣がありました。特に、亡くなった人がいれば、その魂が天へ昇るため、この魚に乗らなければならないという考えがあります。」
「ボン」から作られる料理は様々ですが、その中で、最もおいしいとされる料理は、刺身にした魚を挟んだ生春巻きです。先ずは「ボン」を小さく切ります。その後、魚の骨を細かくみじん切りにしてカリカリに揚げた後、小さくなった刺身魚と混ぜます。これは、刺身に香りを与えるとともに、刺身の水分をとるという効果があります。その刺身をいろいろな野菜で巻いて、特殊なタレにつけて食べます。このタレはこの地の木の葉や実などから作られるもので、他の地が作られない味があります。
ラムトゥオン村に住むホアン・ドン・ホイさんは次のように話しました。
(テープ)
「「ボン」からできた料理について触れるならば、サシミ魚を中に挟んだ生春巻きと焼き魚を抜きにして語ることができないでしょう。これらの料理を作るのはあまり難しくないですが、決められた作り方でやらないと、美味しくならないと思います。例えば、魚を切るとき、水分が入らないようにするとか、正しい調味料と野菜を使わないと、違う味になってしまいます。
「ボン」のサラダ |
「ボン」からは生の魚を使った生春巻きと焼き魚の他、「ボン」のサラダや、酸っぱいスープ、蒸し魚などいろいろな料理を作ることができますが、いずれも好評を受けています。観光客の一人ド・フイさんは次のように話しました。
(テープ)
「「ボン」は他の魚とかなり違うと思いますよ。生臭さがなく、その味も特別です。その中で、最も印象的な料理は「ボン・サラダ」と焼き魚です。」
現在、「ボン」から作られる料理はイエンバイ省ルクイエン県の産物となっているので、地方行政府はこの魚の養殖を奨励し、観光客をひきつけるものとしてPR活動を進めてゆく方針です。