(VOVWORLD) - かつて、赤ザオ族の結婚式は3日間にわたり行われましたが、現在は、1日で済ますことが一般的です。それでも、結婚に関する風俗習慣は昔と変わらないまま、大切にされています。
ハノイから西北へ120キロ離れたところにあるトゥエンクアン省には10万人以上の少数民族ザオ族が暮らしています。ザオ族は民族衣装や風俗習慣によって赤ザオやザオアオザイ、ザオカウなどいくつかのグループに分かれていますが、赤ザオはトゥエンクアン省で人口が最も多いグループです。同省の赤ザオ族の結婚式は昔とあまり変わらない姿のまま、大切に保存されています。
花嫁の迎えを準備している花婿の家族 |
トゥエンクアン省の赤ザオ族の結婚に関する代表的な風俗習慣として、男女が付き合って自分で結婚を決めた場合でも、両親が結婚を世話した場合でも占い師に頼んで、男女の年齢が合うかどうかを見てもらうということです。トゥエンクアン省ハムイエン県タンタイン村に暮らすチエウ・バン・タインさんは次のように話しました。
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「占い師はその女性が相手の男性と結婚できるのかを見てくれます。占い師が「結婚できる」と判断したときのみ、結婚式が行われます。「結婚できない」と判断されれば、結婚には至りません」
赤ザオ族の結婚には多くの儀式が含まれます。結婚には占いのほか、顔合わせのお見合い、婚礼用品の要求、結納、花嫁の迎えなど様々な儀式があります。顔合わせのお見合いでは、男性の家族の媒酌人は女性の家族と話し合い、結婚を申し込みます。媒酌人は風俗習慣にも詳しく、話し上手であり、道徳面で村人の評判を得ている人です。女性の家族が同意すれば、男性の両親は女性の家へ行って婚礼用品の準備について相談します。次は結納式です。この式で、男性の家族は豚や鶏、コメ、お酒などの婚礼用品を女性の家に持って行き、結婚式の開催について話し合います。ハムイエン県タンタイン村に暮らすチエウ・バン・チエンさんは次のように話しました。
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「結婚式を行う日にちと時間は占い師が決めます。占い師は男性と女性の生年月日はもちろん、両家の両親の生年月日にも基づいて結婚式の日にちと時間を決めます」
赤ザオ族の結婚で最も印象的な儀式は花嫁を迎える儀式でしょう。結婚式の日に、花婿の家族の人たちは良い時間を選んで家を出て、花嫁の家へ花嫁を迎えに行きます。ザオ族にとって音楽は、両家のお祝いを意味するものなので、結婚式の楽隊を招かなければなりません。楽隊は花嫁の家へ行きながら、道中演奏しなければなりません。ハムイエン県フーリュー村に暮らす楽隊のメンバー ダン・チャ・チューさんは次のように語りました。
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「花婿の家族が花嫁を迎えに行く時には、必ず演奏しなければなりません。これは昔から伝わる風俗習慣です。新郎新婦が幸福で豊かな生活を送ることや、赤ちゃんが無事に生まれること、子どもがよく成長することを祈るためです」
花嫁を迎える儀式では、花嫁が実家を出ると、赤い布で頭を覆います。これは花嫁の魂を守るためです。花婿の家族が花嫁を迎えて家に着いたあと、花嫁はすぐに家に入ってはいけません。両家族の音楽隊は挨拶を交わす意味で一緒に演奏をします。また、花婿の家族の音楽隊は、演奏しながら花嫁の家族の人たちを回って、紐で花嫁の家族をとり巻きます。これは、花婿の家族が花嫁の家族を歓迎する式でもあります。その後、楽隊は、演奏しながら逆方向に回って、その紐を外しますが、花嫁を巻いている紐は外しません。それは、花嫁が花婿の家族の一員になったことを意味します。この儀式後、花嫁は花婿の家族に加わることになります。トゥエンクアン省文化センターの職員ファム・ゴック・ヒェプさんは次のように語りました。
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「花嫁を迎える儀式は、赤ザオ族の結婚式の特徴の一つです。その中で、花嫁は最も際立っています。花嫁が着用する結婚用の民族衣装は模様がたくさんある色とりどりの衣服なのです。この衣装は赤ザオ族の文化を結晶したものと言えます」
かつて、赤ザオ族の結婚式は3日間にわたり行われましたが、現在は、1日で済ますことが一般的です。それでも、結婚に関する風俗習慣は昔と変わらないまま、大切にされています。