バナ族の兄弟姉妹関係を結ぶ儀式

(VOVWORLD) - ベトナム中部高原地帯テイグエン地方に居住している少数民族バナ族は、平穏を祀る儀式や新米祭り、感謝祭など様々な儀式を誇りにしていますが、その中で、兄弟や姉妹関係を結ぶ儀式は、人間同士の団結や愛情、相互支援の強化を目指すもので、バナ族の人文精神を示すものとして知られています。

バナ族の言葉で「トモン(To Mon)」と呼ばれるこの儀式は人間同士の兄弟姉妹関係を結ぶものですが、2種類があります。一つはお世話になった人とその世話をもらった人との兄弟姉妹関係を結ぶ儀式です。その場合、その2人の年齢の格差によって、里親と里子、あるいは、兄か姉になります。もう一つは、付き合って親しくなる人たちが兄弟姉妹関係を結ぶ儀式です。

バナ族の兄弟姉妹関係を結ぶ儀式 - ảnh 1姉妹関係を結ぶ儀式

バナ族のディン・ブリさんによりますと、兄弟姉妹関係を結ぶ儀式は個人だけに限らず、村と村が行うこともあります。各村が兄弟姉妹関係を結ぶことは、自然災害や外敵に対応するためであることが一般的です。ディン・ブリさんは次のように話しました。

(テープ)

「兄弟姉妹関係を結べば、村と村とのつながりが密接になります。村人は家族のように互いに扱っています。例えば、塩や野菜、バナナなどをもらっても神経をとがらせません。この儀式は、人と人との距離を近くする効果があります。」

バナ族の兄弟姉妹関係を結ぶ儀式は朝に始まるのが一般的です。儀式の始まりを告げるのはドラと太鼓の音です。中部ザライ省コバン県に住むディン・ティエンさんは次のように話しました。

(テープ)

「儀式のお供え物は鶏と豚です。里親と里子の関係を結ぶ儀式では、親が豚を、子どもが鶏と酒を用意します。儀式を行う場所は親の家です。兄か姉の関係を結ぶ儀式も同じです。」

バナ族の兄弟姉妹関係を結ぶ儀式 - ảnh 2

儀式では、村長は神様に、儀式に立ち会うよう拝みます。村長は神様が儀式に立ち会うことに同意したことを宣言すれば、兄弟姉妹関係を結ぶ2人はお酒を交わして飲みます。その後、村長を始め、村人もお酒を飲ます。バナ族の一人ディン・コさんは次のように話しました。

(テープ)

「皆がお酒を飲むことは儀式を目撃したことの証です。それ以来、その2人は決して背かないで、死ぬまで本当の兄弟姉妹のように互いに扱わなければなりません。」

兄弟姉妹関係を結ぶ儀式では、その2人はその関係の証として、腕輪やシャツ、ネックレスなどを互いに交わします。村長は神様の代表として、これらをその2人に手渡しながら、2人の兄弟姉妹関係を守るためのやるべきことと、やってはいけないことを教えます。先ほどのディン・ティエンさんは次のように話しました。    

(テープ)

「村人の目撃の下、兄はシャツや腕輪を弟にあげるのに対し、弟も兄に腕輪をあげます。これらは、2人がいかなる状況にあっても死ぬまで離れないことの証です。」

バナ族の兄弟姉妹関係を結ぶ儀式はバナ族の人間同士の密接なつながりに対するバナ族の考えを示し、先祖代々受け継ぐものですが、これからも、大切に保たれてゆくことでしょう。

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