(VOVWORLD) - ベトナム中部の山間部に暮らす少数民族ブル・ヴァンキエウ族は人口が約9万5千人であり、風俗習慣や居住地に基づいてブル、ヴァンキエウ、マコーンなどのグループに分かれています。その中で、クアンビン省ボチャック県トゥオンチャック村に暮らすマコーングループは太鼓祭りを最も重要な行事と見なしています。
太鼓を叩く初めての人は未婚の男女です。 |
マコーングループの太鼓祭りは人々の健康、天候、豊作などを祈るために行われるものですが、未婚の男女の交流の場でもあります。旧暦の1月16日の夜に行われる太鼓祭りの冒頭、村長は神様に報告する儀式を主宰し、良いことが村に訪れるように願います。その後、村長の指揮の下、太鼓と銅鑼が鳴らされ、太鼓祭りの開始を告げます。
(テープ)現場の音
村人は太鼓を早く大きく叩くことを競い合い、太鼓が壊れるまで叩きます。太鼓を叩かない人たちは焚火を回りながら踊ったり、地酒を飲んだりします。マコーングループの人々にとって、太鼓の音は人間の精神の表れで、夜空に響き渡り、人間と自然のつながりを示すものであると考えられます。
太鼓祭りは若い男女が結婚相手を探すチャンスでもあります。恋する男女が意中の人に気持ちを示すチャンスですが、祭りを通じて知り合いになる男女も多くいます。クアンビン省ボチャック県トゥオンチャック村のディン・ズさんは次のように語りました。
(テープ)
「昔から伝わる習慣として、太鼓が壊れるまで叩くことで、太鼓祭りは完全であるとされています。祭りは若い男女のデートの場でもあります。祭りを通じて夫婦になった人が多くいます」
トゥオンチャック村の村長ディン・ソンさんは、幼いときから太鼓祭りに親しんでいるマコーングループの人々は、誰もが新年の太鼓祭りを待ち望んでいると述べ、次のように語りました。
(テープ)
「太鼓祭りは、村人に幸運が訪れるよう祈るためのものですが、村人が一緒に踊ったり、お酒を飲んだりして、ひと時を過ごすチャンスでもあります。この祭りは先祖から伝わるもので、何としてでも次の世代に伝えるように守らなければなりません」
ベトナムの文化遺産を研究しているデンマーク人のピーターさんは、マコーングループの太鼓祭りは貴重な文化遺産であると述べ、次のように語りました。
(テープ)
「今回の旅で、太鼓祭りを楽しむことができたのは素晴らしい体験でした。この祭りは自然と人間とのつながりを示すものであり、クアンビン省の山間部に暮らす少数民族の伝統文化の一つでもあります。そのため、必ず守り続けてほしいと思います」
2019年、文化スポーツ観光省はマコーングループの太鼓祭りを国の無形文化遺産として認定しました。以来、同省は現地行政府と連携し、太鼓祭りの保存と開発を進めています。クアンビン省ボチャック県人民委員会のグエン・ヒュー・ホン副委員長は次のように語りました。
(テープ)
「我々は、マコーングループの太鼓祭りの保存と開発に特別な関心を払っています。今年の太鼓祭りの準備は早めに行われました。これからも、太鼓祭りの伝統的な特徴を維持しながら、祭りを広げようとしています」
国と地元の住民の努力により、マコーングループの太鼓祭りが保たれ、太鼓の音が山間部の奥まで響き渡り続けることでしょう。