ムオン族の生活にとってドラとシンバルは文化的価値がある重要な楽器とされています。ドラとシンバルはムオン族コミュニティのあらゆるイベントで鳴らされることから宝物として扱われ、各世代に受け継がれています。
写真:dantocviet.vn
ドラとシンバルの演奏は大昔から伝えられ、ムオン族の文化、歴史に重要な地位を確立しています。ムオン族は文化色豊かなメロディーを創造し、ドラとシンバルを演奏に取り入れました。ムオン族のドラとシンバルのセットは12個あり、新築を祝う儀式や結婚式、畑仕事を始める儀式など24の儀式や祭りで演奏が行われます。中部高原地帯テイグエン地方ではドラとシンバルの演奏者は主に男性ですが、ムオン族の場合、女性が担います。ドラとシンバルはただ楽器であるだけでなく、一年12ヶ月を代表するものでもあります。ムオン族の文化研究者であるブイ・チ・タインさんは「昔、銅太鼓はムオン族の統治者の権限を象徴する一方、ドラとシンバルは一般人の生活と密接に結ばれている」と明らかにし、次のように語りました。
(テープ) Thanh
「11世紀以来、ムオン族のドラとシンバルの演奏文化は絶え間なく発展しています。ドラとシンバルの演奏文化はムオン族の生活のあらゆる面に表れています。ムオン族はドラとシンバルを民族の象徴と見做し、尊い物として扱われています。」
写真:dantocviet.vn
現在、北部ホアビン省、タンラク県には数百セットのドラとシンバルを保存されており、その中でもフービン村はおよそ400個を保存しています。この数百年、フービン村の住民は困難な生活を送っているものの、ドラとシンバルの保存に力を入れています。村の各家庭はいずれも少なくとも1個の銅鑼があります。また、12個を所有するブイ・バン・ヌオムさんのような家庭もあります。ヌオムさんの話をお聞きいただきましょう。
(テープ) Nuom
「大昔に、銅鑼とシンバルが出現しました。我が家の銅鑼とシンバルは父親から受け継がれたものです。祭りや家庭の行事などの時に鳴らし、また子孫に残したいので、絶対に売りません。」
フービン村の風習にみられる特筆すべき点は新年へ移る瞬間に各家庭は銅鑼を3回鳴らし、ご先祖様に正月を楽しんでもらうよう招くということです。銅鑼を鳴らさないと祖先が家に帰れないと考えられています。フービン村の住民ブイ・ティ・アインさんは次のように話しました。
(テープ)Anh
「どんなに生活が困難でも銅鑼を売ることはできません。というのは銅鑼の音色に代わるものはありませんからね。何回も売らないかと求められましたが、決して売りませんよ。」
これまで、タンラク県の行政は住民と力を合わせ、銅鑼とシンバルの保存や伝統祭りの復活に取り組み、国内外の観光客に銅鑼とシンバルのメロディーを紹介することが狙いです。先頃、「夏季に入る」祭りで、400個あまりの銅鑼とシンバルの合奏によるメロディーが響き渡り、ムオン族の独特な文化価値への誇りを芽生えさせました。フービン省人民委員会のブイ・バン・ズン委員長は次のように語りました。
(テープ) Dung
「銅鑼とシンバルは地元の貴重な文化遺産であることから、地方行政府は住民に対し、銅鑼のシンバルの保存に取り組むよう激励しています。一方で、文化担当者や人民委員会の幹部を住民の元に派遣し、銅鑼とシンバルを保存する大切さを宣伝するよう指示しました。これにより、これまで、銅鑼を売る家庭は一戸も現れていません。」
ホアビン省に住むムオン族の人々にとって銅鑼とシンバルは独特な文化遺産であることからその保存、発揮は住民の精神的生活の向上に大きく貢献するとみられます。先頃、ホアビン省は文化スポーツ観光省に対し銅鑼とシンバルの演奏文化を国家レベルの無形文化遺産として認定するよう提案しました。