モノン族の独特な「石の楽器」

数千年前から中部高原地帯テイグエン地方では独特な楽器「石の楽器」が姿を現しました。この楽器の音色はテイグエン地方の各少数民族の気持ちを示すとされています。また、森のせせらぎの音のように聞こえ、人の心を虜にしています。

モノン族の独特な「石の楽器」 - ảnh 1

1993年にモノン族が集まっているテイグエン地方のダクノン省、ダクラップ県で石の楽器が初めて発見されました。モノン族の住民の話によりますと、ある住民がダクカル谷川で魚捕りをしている時、いい音を出す3本の石を見つけました。これを受け、研究者が調査を行った結果、これはおよそ3千年前の石器時代から残っている石の楽器である。前史時代の人たちは自然の石で楽器を作ったことを明らかにしました。テイグエン地方の石の楽器研究者のグエン・タムさんは次のように語りました。

(テープ)

「これらの石は変わった音色を出します。長い歳月、水に浸り、外側が腐食したので、内側は硬くなってきました。この石を打つと鐘のような音色を出します。これは石の楽器をつくる原料です。石の楽器は森・山とよく調和したメロディーを鳴らし、手付かずのままの自然を表します。」

モノン族は創意工夫を凝らし、人間と自然との調和を示すような石の楽器を創りあげてきました。楽器の元になる石は異なる長さや厚さに切られ、多種音声を発することが狙いです。長くて厚い石の棒は低音とクリアな音声を発しますが、短くて薄い石の棒は高音を発するものです。

モノン族の独特な「石の楽器」 - ảnh 2

モノン族は石のゴングも作ることができます。このゴングは異なるサイズの6つの石からできていて、重さは5~7キロで、最も長い棒は30センチ、最低の棒はおよそ10センチです。昔、石の楽器は農作物の保護目的で、動物や鳥追いに使われてきましたが、その後、共同体の文化イベントなどに活用されてきました。モノン族の考えでは石の楽器は人間と神、過去と現在を結び付けるものであるとしています。普段、ゴングは大切に保管されますが、正月になると、飾り物として使われます。また、神聖な意味があることから、新米の収穫を祝う儀式や豊作を祈る儀式などで演奏される唯一の楽器です。ダクノン省、ルラップ県、クアンティン村に住む石の楽器づくりの名人ディエウ・ニョムさんは次のように話しました。

(テープ)

「このゴングを鳴らす時、両親を思い出します。石の楽器は昔から伝わった民族楽器ですので、保存しなければなりません。今後も、子孫は継承するべきです。新米の収穫を祈る儀式や豊作を祈る儀式などで演奏するのです。」

現在、銅のシンバルやドラは普及しているものの、テイグエン地方に住む各少数民族、とりわけモノン族は古い石の楽器を保っています。また、この楽器の鳴らし方はモノン族の代々に伝わっていて、民族文化の一翼を担っています。

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