ライフスタイルが現代化されている現在でも北部山岳地帯に住むモン族は婚姻をはじめ、人生の通過儀礼において民族の風俗習慣を保っています。
春がやってくると、モン族の結婚式が相次いで行われます。白モン族出身の26歳のバン・ア・ムアさんと20歳のタオ・ティ・バンさんは3年間にわたり、付き合ってから、結婚しています。週末に、ムアさん夫婦はバイクに乗って、市場に向かい、買い物にします。ムアさんは次のように話しました。
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「妻とはライチャウ省で出会いました。率直に好きかどうかを尋ねましたよ。彼女は何も言いませんでしたが、気になったはずです。その後、頻繁にデートをして、モン族の風習や生活、家庭などについて いろいろと話し合ってきました。」
昔、モン族は花嫁を捕らえるという風習があります。今でも、この風習をよく覚えている人がいます。ムアさん夫婦が居住しているタインミン村の住民バン・ア・スンさんは次のように語りました。
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「現在、モン族の結婚式は多少変わってきて、昔と違います。若い男女は愛し合うことから始まり、結婚に合意します。『花嫁を略奪する』風習はやめましたよ。かつての若い男性は両親に知らせないまま、女性を家に連れて帰ってきました。その後、入籍儀式を行います。」
このように語ったスンさんによりますと、モン族の男女は年少を問わず、早婚でしたが、現在、法律に従って、男性は20歳、女性は18歳になってから初めて結婚することになります。ただ、結婚の儀式や結婚式の日取り決めは依然として重視されています。スンさんの話をお聞きください。
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「2日や4日、16日など、偶数の日を選びます。これらはいい日だとされていることから、結婚の日取りにします。昔から、偶数の日は幸運の日だと思われています。」
花嫁を迎える儀式は盛大に行われます。これは祖先に対する敬愛と親孝行の気持ちを表すものです。スンさんは次のように語りました。
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「娘が結婚してから、家族は先祖の祭壇にお供えをし、報告しなければなりません。結婚式のために、豚をまるごと用意する必要があります。また、お供え物としては豚肉、ご飯、お酒が捧げられます。結婚式には友人や村人全員を招待します。」
結婚式にモン族は伝統衣装を着用します。バン・ア・ムアさんは次のように話しました。
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「花嫁の母親は娘と花婿のためにそれぞれ一着の衣服を用意します。また、男性の家族もお嫁に1着を用意します。女性と男性の衣服は異なります。花婿のシャツは白、花嫁のシャツは黒色です。」
モン族の風習によりますと、花婿の家に花嫁を連れて行く途中で、食事をして、神様に結婚を告げるとともに、若い夫婦の幸福と幸運を祈ることが狙いです。また、花婿の家に着いてからも祖先に告げる儀式を行います。
現在、モン族の結婚儀式は昔と比べると、簡素化されました。若い男女たちは民族色の保存に取り組みながらも、現代社会のメリットを吸収し、地元の貧困解消や文化的生活作りに貢献しています。