(VOVWORLD) - ハノイから西北へ約320キロ離れたところにあるラオカイ省シマカイ県は少数民族ヌン族多数が暮らしている地方で、ヌン族の伝統的な土壁の家があちこちで見かけられます。この家はヌン族にとって単に住むところではなく、伝統的な風俗習慣を次世代に残していくところでもあります。
土壁の家 |
シマカイ県ナンサン村は、土壁の家の多くが残っている所として知られています。この村の土壁の家のほとんどは数十年前に立てられましたが、中には100年以上の歴史を持つ家もあります。ナンサン村に暮らすテン・スアン・バンは、土壁の家を建てるためには、まず立地を選ぶことであると述べ、次のように語りました。
(テープ)
「ヌン族は、家を建てるために、まず家主の年齢に適した家の向きを選ばなければなりません。そして、工事を始めるのによい日と時間を選ばなければなりません。その時間になったら、鶏や豚肉をお供え物にしてその土地の守り神に報告し、建設の無事を祈ります」
壁が土で固められた家を建てるときはまず、表面が平らな石を積んで石の間の隅に土を入れて固めることで土台と床を作ります。その後、壁を築きます。木の板を使って壁の型を作るのです。粘土を型に入れて杵でついて固めます。壁は普通、7層からなるので、1層できたら、型を外して次の層を作ります。屋根を支えるのは4本の柱で、それぞれの柱は家の隅にあります。このような家は丈夫な上、夏は涼しく、冬は暖かいというのが特徴です。先ほどのバンさんは次のように語りました。
(テープ)
「壁には土は少し砂が入った赤い粘土が一番いいです。壁の高さは3.5~3.8メートルが一般的です。4面の壁ができたら、家の柱を立てます。家の柱を立てる日に、その土地の守り神を拝む儀式が行われます。儀式のお供え物は1羽の鶏、12個のお餅、1リットルのお酒です。そして、柱の先に銀のコインを置いて上から赤い布を被せます。これは家主の豊かさを祈るためです」
ヌン族の人々は新しい家に引越しする日に新築祝いの式を行います。新築祝いの式はヌン族にとって最も重要な行事です。そのため、貧富を問わず、式を大規模に行いたいというのがヌン族共通の気持ちです。この式には、家主の親族だけでなく村人も招きます。ナンサン村のバン・バン・トゥオンさんは次のように語りました。
(テープ)
「新築祝いの式に招かれた人は米を家主にプレゼントする習慣があります。お金を贈る人もいます。そして、歌ができる人は歌を歌い、家主にお祝いの気持ちを示します」
数百年が経ってもヌン族の伝統的な土壁の家は今もなお、昔のまま保たれており、昔の美しさを求める観光客や写真家に愛されています。