ラオカイ省ドンカム村に暮らす赤ザオ族の「森の神様を祀る儀式」
(VOVWORLD) - ハノイから北西へ300キロ離れたところにあるラオカイ省バオタン県ドンカム村は少数民族赤ザオ族の居住地です。この村は老木の多い森林を持つことで知られています。これは、住民の森を大切にする精神から来るもので、「森の神様を祀る儀式」はその精神を表しています。
「森の神様を祀る儀式」を主宰している祈祷師チエウ・ヒュー・ファウさん
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「森の神様を祀る儀式」は旧暦の1月15日に森の神様を祀る社で行われます。村一番の高い丘に建てられた社のそばには、村一番の大木があります。儀式は村の祈祷師によって執り行われ、村人が鶏や豚、お酒、おこわなどを供えます。儀式に女性が参加することは禁止されています。村の祈祷師チエウ・ヒュー・ファウさんは、儀式は森の神様に、村を守り、村人の健康や豊作を願うためであると述べ、次のように語りました。
(テープ)
「この儀式は昔から伝わり、代々引き継がれてきました。私は1980年に祈祷師になってから毎年この儀式を主宰しています。この社は土地の神様を祀る建物で、新年に儀式を行うのは、天候に恵まれ、豊作や村人の健康など、新しい年がよい年になるようにお願いをするためです」
木を植えている青年たち |
儀式の一環として、村の青年たちは森の神様を祀る社の周りに木を植えます。社の周囲一帯は「神聖な森」とされておりで、村人は、木を切ることはもちろん、牛を放ってはいけないなどの掟をきちんと守っています。その代わり、「神聖な森」は平穏な村の生活を守ってくれていると考えられています。特に社のそばの大木は「神聖な木」とされていて、この森の頭のようでもあります。ドンカム村の一人チエウ・ヴァン・サンさんは次のように語りました。
(テープ)
「森にも頭が必要だということです。「神聖な森」や「神聖な木」を必死に守っていかなければなりません。私たちは皆、森の神様を祀る信仰を誇りに思って、大切にしています。先祖代々伝わるものなので、これからも大切にしていかなければなりません」
儀式の後、村人は「神聖な森」で宴会を行います。お供え物を村に持ち帰ることは禁止されており、食べきれないものは地中に埋められます。
近年、赤ザオ族の居住地であるドンカム村には、外から移り住んだほかの民族が増えつつありますが、森を守る赤ザオ族の精神がこれらの人たちにも伝わり、村の緑は徐々に広がっています。