(VOVWORLD) - 現代生活では、どの少数民族も伝統文化を保存することは差し迫った課題となっています。民族衣装や民謡、伝統的な風俗習慣、そして、言語さえも保てない少数民族の居住地もありますが、北部タイグエン省にあるテイ族の「タイハイ」という村は伝統文化を守る模範として知られています。
タイハイ村の井戸 |
首都ハノイから北へ70キロあまり離れたところにあるタイハイは村全体が、テイ族ならではの生活様式の雰囲気に包まれています。現在も、村人は共同で畑仕事をしたり、大きな高床式の家で一緒に食事をしたり、村の出来事などについて話し合ったりするなど昔ながらのテイ族の生活を送っています。この高床式の家は村の集会所として、村人が共同生活をするほか、村のお客さんを接待する場所でもあります。また、村人はすべての家族の結婚式や葬式はもちろん、大学に通っている子どもの学費などの支払いを自分の責任と見なし、自分のできる範囲で負担するという生活です。それぞれの家族の家は単に寝場所のようです。タイハイ村の村長グエン・ティ・タイン・ハイさんは次のように話しました。
(テープ)
「テイ族の習慣では、兄弟であれば、ずっと一緒に住んで、互いに助け合います。配偶者が亡くなった人はその兄弟の子どもの世話を受けます。家族内の相互支援はもちろん、村全体もそうです。牛を飼う人もいれば、豚を飼う人もいます。それぞれは違う仕事をしていますが、共同で働いて、一緒に食事をしています。誰が下手で誰が上手という区別はせず、皆互いに助け合っています。」
タイハイ村の人口は約200人で、30軒以上の高床式の家に住んでいます。これらの家はほとんど、約100年の歴史を持っていますが、大切に保存されているため、今もなお、しっかりと建っています。家の中の配置もテイ族の昔ながらのものです。また、臼やお膳、籠などすべての家具類も昔と変わりません。
そして、タイハイ村の人々は、民謡「テン」や琴「ティン」を始め、テイ族の独特な伝統芸能の保存に特別な関心を寄せています。村のお年寄りは毎日のように、村の子どもに伝統芸能を教えています。民謡「テン」のベテラン歌い手マ・ティ・ダンさんは次のように話しました。
(テープ)
「孫が学校から帰ったら、いつも民謡の「テン」と琴「ティン」を教えていますよ。これまで三世代に教えてきました。だから、村の子どもたちは全員が、琴「ティン」を引きながら、民謡の「テン」を歌えるわけですよ。」
日常生活では、年齢や男女を問わず、皆、民族衣装を着ています。また、皆、ベトナム語を話せますが、村人同士ならテイ族の言葉で喋ります。そして、子どもらは昔から伝わる伝統的な遊びをしているのはよく見られる風景です。
農作業では、昔から伝わるやり方はタイハイ村の人々に大切にされています。村人の一人レ・ヴァン・ベトさんは次のように話しました。
(テープ)
「昔から伝わる経験では、2、3月ごろ、栽培を始めたのが最適です。わが村では、全然農薬を使いません。人の健康を第一に考えるからですよ。」
タイハイ村は、国内外の観光客にとって魅力的な目的地となっています。ランソン省から来た観光客の一人の感想です。
(テープ)
「タイハイ村に来ると、昔のテイ族の村に入ったような感じがします。本当に伝統的な文化とライフスタイルを保っています。ここは、お互いを愛して助け合うやり方を学ぶ所だと思います。」
こうしたタイハイ村は、伝統文化の保存と観光発展を両立させる模範として2018年にASEAN観光賞を授与されました。現在、現地行政府は、この村のやり方を広げて、少数民族の伝統文化の保存を促しています。