(VOVWORLD) - 中国と国境を接する西北部ソンラ省ソンマ県ナギュー村に暮らす少数民族モン族のソン・ティ・チュさんにとって、今年は読み書きができることで、旧正月テトを大いに楽しむことができる初めての年になりました。非識字者の撲滅教室に参加しているチュさんはテレビで流れる文字を読みながら、テトの特別番組を楽しめるようになりました。
チュさんと娘さん |
毎朝、チュさんは娘さんと一緒にナギュー村の小学校に通っています。娘さんの登校に同行するだけでなく、小学校で開かれている非識字者の撲滅教室に参加するためです。これは、チュさんの30年越しの夢です。
きわめて貧しい家庭の出身であるチュさんは、子ども時代、両親を手伝って畑仕事をしなければなりませんでした。また、村には学校がなかったので、学校に通うことができませんでした。大人になって結婚してからも、子どもの世話や畑仕事などで忙しく、読み書きができるようになりたいという夢をずっと持ち続けていました。チュさんはナギュー村の小学校で非識字者をなくすための撲滅教室が開かれることを知り、すぐ登録しました。チュさんの話です。
(テープ)
「読み書きのほか、計算もできないので、生活上とても不便でした。例えば、トウモロコシを売る時にも、計算ができないため、とても大変でした。教室では、文字や計算を教えてもらいました。鶏やトウモロコシ、タピオカなどを売る時に、計算ができました。3人の子どもと一緒に一生懸命勉強しています」
チュさんと同じナギュー村に暮らすロ・ティ・トアさんは、長年、自分の名前を書くという夢を持っていました。非識字者の撲滅教室に通い、先生の熱心な指導を受けたトアさんはようやく自分の夢を実現することができました。トアさんの話です。
(テープ)
「以前は読み書きができなかったので、自分の名前さえもだれかに書いてもらわなくてはなりませんでした。今は読み書きができるので、人に頼まなくてもよくなりました。教室で先生は、一つ一つの文字を私が覚えるまで熱心に教えてくれています。2週間自分と子どもの名前を書けるようになりました」
非識字者の撲滅教室 |
非識字者の撲滅教室の生徒数は約80人で、その中には中年や青年の生徒もいます。また、生徒たちは民族が異なっています。教室が開かれて3か月間、教師たちは民族の違いによって生ずる困難に取り組んでいます。教師のロ・ティ・フォックさんは次のように語りました。
(テープ)
「教室の生徒たちはモン族やタイ族、シンムン族、コム族などいろいろな民族の出身者です。また、ベトナム語が喋れない人もいます。そのため、彼らの言語で教えています。そして、生徒のほとんどは貧しいため、ペンやノートを持っていませんので、文房具を提供しています」
ソンマ県はナギュー村のほか、4つの村で非識字者の撲滅教室を開いています。また、2025年までに、非識字率の高い僻地や山間部の村で18の非識字者の撲滅教室を開く計画があります。ソンマ県教育訓練課のグエン・コン・ビエン課長は次のように語りました。
(テープ)
「非識字者の撲滅は難しい課題です。非識字者の撲滅教室への参加を希望している人のほとんどは労働年齢なので、彼らのスケジュールに合わせて授業を行っています。また、教室の教師は地元の言語ができるほか、大人を対象とした教育法に詳しい人です」
ソンラ省ソンマ県では非識字者の撲滅教室を通じて、僻地や山間部の村に暮らす少数民族の生活水準が高められることが期待されています。