(VOVWORLD) - この民族は自分のアイデンティティと文化を誇っており、できる限りそれらを守っています。
ベトナム北部山岳地帯トゥエンクアン省ラムビン県トゥオンミン村は特別な少数民族の居住地です。これはベトナム語でトゥイ(Thuy)族ですが、漢字で書くと「水族」となります。トゥイ族は100年前に中国の貴州からベトナムに来ました。中国で正式な少数民族ですが、ベトナムではまだ認められていません。しかし、この民族は自分のアイデンティティと文化を誇っており、できる限りそれらを守っています。
トゥイ族の女性 |
トゥオンミン村の人口は100人以上で、そのほとんどはトゥイ族です。この村以外に住むトゥイ族はわずかです。周辺の村はモン族やザオ族、テイ族、パテン族などの居住地なので、トゥイ族の文化や風俗習慣などはこれらの民族と混合したところもありますが、言語や民族衣装、民謡などはトゥイ族ならではの独自で、今もなお、大切にされています。
トゥイ族は元々は文字を持っていましたが、ベトナムに住むトゥイ族は人口が少ないためか、文字を保っていません。そのため、この民族の民謡は口承で次世代に伝わっています。トゥイ族の民謡は、男女の恋愛をテーマにしたものが一番多いですが、道徳や礼儀を教えるものもあります。民謡は歌垣の形で歌われ、村の祭りや行事に欠かせないものです。
トゥイ族の生活において祈祷師は非常に重要な役割を果たします。葬式や結婚式などはもちろん、病気になった時にも、祈祷師を呼んで神様に元気付けてもらようにお願いをする習慣がありました。そのため、祈祷師は、村の儀式や風俗習慣、タブーなどに詳しい人で、その意味で、トゥイ族の伝統文化を維持する担い手であるとされています。しかし、現在、優れた祈祷師が少なくなったので、伝統文化が衰退する恐れがあります。トゥオンミン村に住むトゥイ族の一人リ・ヴァン・ゴックさんは次のように話しました。
(テープ)
「まだ祈祷師がいますが、結婚式などは依然より簡単に行われるようになったので、祈祷師の仕事も簡単になっています。その一方で、祈祷師の数が減っています。」
トゥイ族のお年寄りによりますと、かつて、花婿は婚礼用品として多くの銀や、お酒、鶏を用意しなければなりませんでした。花嫁は家事が上手であればあるほど、より多くの銀を必要としたとしています。
トゥイ族の女性の衣装はザオ族やパテン族の派手な衣装と違って、黒をベースにして青・赤・白を襟・肘・手首・腰などのところにすこし施します。トゥイ族の料理も簡単で、複雑な作り方を必要とする料理はほとんどありません。トゥイ族について、ラムビン県の文化・スポーツセンターのタ・ヴァン・クオン副所長は次のように語りました。
(テープ)
「トゥイ族は独特な文化を持っています。現地行政府はこれを地元の観光発展の基盤と見なしています。そのため、地元の文化フェスティバルなどでは、いつもトゥイ族の民謡や民族衣装が披露されます。」
トゥイ族は人口わずか100人で、正式な少数民族として認められていないにもかかわらず、独特な文化や生活様式をしっかりと守っています。