ベトナムの54民族の一つであるハニー族はベトナム北西部の山岳地帯に居住している少数民族です。その人口は2009年の国勢調査によりますと、わずか2万1700人ですが、独特の豊かな文化で知られています。
ハニー族の居住地は、中国との国境地帯の山間部で、小さい集落に住んでいます。集落の中で一番多いのは約60世帯です。大自然の中に住んでいるこの民族は自然を大切にし、生活のあらゆる面は自然と密接につながっています。民族学研究者のラム・バ・ナムさんは次のように語りました。
(テープ)
「ハニー族は、数百年前に北方からベトナムへ来ました。彼らは山岳地の高い山々の中に住んでおり、独特な文化で知られています。その中で、ハニー族ならではの衣装が挙げられます。また、祭りはいつも森につながり、この民族と大自然との調和を示しています。」
ハニー族の家
ハニー族はよく水源のある谷を集落の立地としています。家は山を背景にして建てられます。その風景を遠くから見ると、キノコが並んだようで美しい絵になります。家は壁が土で固められるので、山間部の気候に耐えられます。これらの家に住むと、冬は暖かく、夏は涼しいと言われています。6割以上のハニー族の人々が居住しているライチャウ省文化情報局のグエン・フー・ソンさんは、壁を土で固めた家はこの民族の豊かな文化の一部であるとし、次のように語りました。
(テープ)
「ハニー族の目立つ文化の一つは、壁を土で固めた家です。家は、それぞれの家庭の住まいであり、コミュニティーの拠点でもあります。これらの家は周辺環境の状態に沿って建てられ、環境に対するこの民族の思いを示しています。家を研究するだけで、ハニー族の独特な文化を見つけられるでしょう。」
ハニー族は農業を本業とし、中でも、棚田で稲作をするのが上手です。そのほか、牛の畜産や紡績もやっています。現在、工場で作られた布がどこでも買えるものの、ハニー族は自分の手で布を織っています。女性たちは子どもの頃から、母親に布織りと衣服の作り方を習うので、みな、民族衣装は自分で作ります。その民族衣装はきれいで、ハニー族ならではのものだとよく評されています。
ハニー族の女性
ハニー族の豊かな文化は祭りにも現れています。毎年、いろいろな祭りが行われますが、その中で、「ク・ザ・ザ」という祭りが最大行事です。神様に豊作や平安を祈るために行われるこの祭りについて、先ほどの民族学研究者ナムさんは次のように語りました。
(テープ)
「ク・ザ・ザ祭りは、ハニー族の歴史と文化に密接につながるものです。山々に住む少数民族の祭りの中には物事の繁殖を目指すものが多いですが、ク・ザ・ザ祭りはそれ以外にコミュニティーのつながりを目指します。その意味で、この民族の文化保存に役立つと思います。」
現代生活の影響が大きくなっているものの、ハニー族は伝統文化を大切にしており、代々まで伝えています。